10月26日に行われた2023年ドラフトは、ここ数年では最も難しかっただろう。
投手は1巡目まではそれなりの人材がいたが、野手は特に限られていた。チームの補強ポイントがくっきりと見えていても、そこを埋めるだけの人材は果たしているのか。果たしてどこを重視するのか、その難しさがあった。
世間で騒がれるほどの「豊作」とは程遠いのが現状で、各球団のドラフト戦略が上手か下手かがはっきり分かれたように思う。今ドラフトの通信簿はその観点から評価していきたい。今回はセ・リーグを見ていこう。
【2023ドラフト候補ランキング最終版|1~10位】東洋大・細野、青山学院大・常広、国学院大・武内...1位は果たして<SLUGGER>
●阪神:A
オリックスと並んで、一本釣りに成功した。先発もリリーフもできる下村海翔(青山学院大)の1位指名は、戦略勝ちと言ってもいいかもしれない。
今年の大学生は確かに、好投手が揃っていた。しかしその一方で、「この投手じゃないといけない」と言うほどの圧倒的なタイプはいない。変に重複に挑むよりは、一本釣りを狙う方が得策と考えたのだろう。見事な戦略勝ちだ。
2位以降も、リリーフができそうなタイプを選んでいる。今季は岩崎優に頼りきり。来季以降は湯浅克己が復帰してくるにしても、まだまだ厚みが必要というチーム事情を反映しているのだろう。
一方、3、4位は高校生遊撃手を続けて指名。それほど穴のあるポジションではないが、今後の成長次第でさまざまなポジションを任せることも視野に入れているのだろろう。まずはポテンシャルで選んだ印象だ。
欲を言えば高校生投手も狙いたかったところだが、昨年のドラフトが高校生メインだっただけに、今年は戦略重視で見事勝ち組になった。
●広島:B
大学No.1投手の常広羽也斗(青山学院大)の指名を早々に公表して交渉権を獲得。執念のようなものを感じた。
大瀬良大地や九里亜蓮、床田寛樹、森下暢仁らは安定しているが、その後に続く先発投手が不安定なのを考慮しての指名だろう。軸になる投手を獲得できたのは大きい。
その後も投手メインの指名を続けたのは、今ドラフトの特徴をしっかりと理解した上で、「投手力の厚みを増すこと」にポイントを絞ったからだろう。比較的リリーフ陣は安定しているが、先発も中継ぎもできそうな高太一(大商大)を2位で指名。スケール感のある滝田一希(道都大)の交渉権も獲得した。さらに5位では、2019年の甲子園で彗星のごとく現れた赤塚健利(中京学院大)を、その後4年間の成長を確かめるように指名した。
唯一の野手である4位の仲田侑仁(沖縄尚学高)は、意外な人選だった。一塁しか守れないタイプのスラッガーを選んだのは広島らしくない。ただ、次世代の野手は左打者が多くを占めていて、バランスを考える意味でも右の強打者が必要だったのは間違いない。
投手は1巡目まではそれなりの人材がいたが、野手は特に限られていた。チームの補強ポイントがくっきりと見えていても、そこを埋めるだけの人材は果たしているのか。果たしてどこを重視するのか、その難しさがあった。
世間で騒がれるほどの「豊作」とは程遠いのが現状で、各球団のドラフト戦略が上手か下手かがはっきり分かれたように思う。今ドラフトの通信簿はその観点から評価していきたい。今回はセ・リーグを見ていこう。
【2023ドラフト候補ランキング最終版|1~10位】東洋大・細野、青山学院大・常広、国学院大・武内...1位は果たして<SLUGGER>
●阪神:A
オリックスと並んで、一本釣りに成功した。先発もリリーフもできる下村海翔(青山学院大)の1位指名は、戦略勝ちと言ってもいいかもしれない。
今年の大学生は確かに、好投手が揃っていた。しかしその一方で、「この投手じゃないといけない」と言うほどの圧倒的なタイプはいない。変に重複に挑むよりは、一本釣りを狙う方が得策と考えたのだろう。見事な戦略勝ちだ。
2位以降も、リリーフができそうなタイプを選んでいる。今季は岩崎優に頼りきり。来季以降は湯浅克己が復帰してくるにしても、まだまだ厚みが必要というチーム事情を反映しているのだろう。
一方、3、4位は高校生遊撃手を続けて指名。それほど穴のあるポジションではないが、今後の成長次第でさまざまなポジションを任せることも視野に入れているのだろろう。まずはポテンシャルで選んだ印象だ。
欲を言えば高校生投手も狙いたかったところだが、昨年のドラフトが高校生メインだっただけに、今年は戦略重視で見事勝ち組になった。
●広島:B
大学No.1投手の常広羽也斗(青山学院大)の指名を早々に公表して交渉権を獲得。執念のようなものを感じた。
大瀬良大地や九里亜蓮、床田寛樹、森下暢仁らは安定しているが、その後に続く先発投手が不安定なのを考慮しての指名だろう。軸になる投手を獲得できたのは大きい。
その後も投手メインの指名を続けたのは、今ドラフトの特徴をしっかりと理解した上で、「投手力の厚みを増すこと」にポイントを絞ったからだろう。比較的リリーフ陣は安定しているが、先発も中継ぎもできそうな高太一(大商大)を2位で指名。スケール感のある滝田一希(道都大)の交渉権も獲得した。さらに5位では、2019年の甲子園で彗星のごとく現れた赤塚健利(中京学院大)を、その後4年間の成長を確かめるように指名した。
唯一の野手である4位の仲田侑仁(沖縄尚学高)は、意外な人選だった。一塁しか守れないタイプのスラッガーを選んだのは広島らしくない。ただ、次世代の野手は左打者が多くを占めていて、バランスを考える意味でも右の強打者が必要だったのは間違いない。