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プロ野球

FA権行使の山崎福也が選んだ新天地は――「中学からの夢」だった日本ハム【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.11.25

山崎はオリックスでの9年間で通算39勝。ここ3年間はいずれも110イニング以上をクリアするなどローテーション投手として重きを成した。写真:野口航志

山崎はオリックスでの9年間で通算39勝。ここ3年間はいずれも110イニング以上をクリアするなどローテーション投手として重きを成した。写真:野口航志

 11月25日、オリックスからFA宣言していた山崎福也が、日本ハムと契約合意したと発表された。山崎を慰留していたオリックスをはじめ、ヤクルトやDeNA、ソフトバンク、巨人の6球団による大争奪戦が繰り広げられたが、最終的に日本ハムがその心を射止めた。

 日本ハムは、山崎の父である章弘氏の古巣でもある。息子の幼少期にはコーチとしても在籍しており、山崎は鎌ヶ谷スタジアムで父に野球を教えてもらったこともある。中学3年の時には、将来の夢に「北海道日本ハムファイターズに入団すること」を挙げていたこともある(『甲子園がくれた命』中村計著/講談社より)。

 私は普段から山崎のことを「さっちゃん」と呼んでいる。普段は優しい性格だが、マウンドに上がるとピリッとする一面も持ち合わせていた。2017年に不甲斐ない登板をした際、試合中に大阪へ帰らされたこともあったが、その際に一人、みどりの窓口で新幹線の切符を変更したエピソードは、今となっては懐かしい思い出だ。

 山崎はこの「オリ熱コラム」において、最も取り上げてきた選手でもある。プロ入り直後は、首脳陣が「もう145キロは出ないでしょ」とこぼしていたほど、大学時代に比べて球威が落ちてしまった。だが、17年に菊池雄星(当時西武)と出会ってトレーニング量を増やし、スピードを取り戻すと、持ち前の変化球も効果的に決まるようになっていった。
 
 FA権を得た今季はチェンジアップの精度がこれまでよりも向上し、交流戦では投打ともに大活躍。6月には初の月間MVPを受賞すると、オールスターにも監督推薦で初出場を果たした。終わってみればキャリアハイの11勝をマークし、エース山本由伸に次ぐ勝ち頭となった。

 バッティングも好きなことから、争奪戦の折にはヤクルトやDeNAといったセ・リーグ球団への移籍が有力視されていたが、選択したのは「中学時代からの夢」である日本ハムだった。日本ハムにはかつてオリックスでバッテリーを組み、22年の日本一にも貢献した伏見寅威がいるのも心強い。先日には黒木優太のトレード移籍も発表されたばかりで、オリックスOBの金子千尋投手コーチも在籍している。エース上沢直之がメジャー挑戦を表明しただけに、来季の開幕投手が内定している伊藤大海、加藤貴之とともに先発三本柱を組むのは確実だろう。

 ローテーション投手としてだけでなく、甘いマスクからファンの人気も高かっただけに、移籍には寂しさも大きい。来季は対戦相手としてかなり脅威な存在になるはずだ。26日に京セラドーム大阪で開催される『Bsファンフェスタ2023』で、最後のバファローズのユニフォーム姿を目に焼きつけておきたい。

取材・文⚫︎どら増田


【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
 

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