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72歳まで支払いが継続、引退後に年1500万ドルも受け取る選手も――大谷の新契約に含まれる「年俸後払い形式」をめぐる珍エピソード<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.12.11

7億ドル、日本円にして約1014億円という超大型契約を結んだ大谷。一部は「後払い」と言われているが、果たして……。(C)Getty Images

 現地12月9日、全米が、いや全世界が注目した争奪戦が決着した。大谷翔平がドジャースと契約合意に達したことが発表されたのだ。10年7億ドルは、マイク・トラウト(エンジェルス)の12年4億2700万円を上回るMLB史上最高額であるのみならず、NFLカンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ(10年5億300万ドル)や、サッカーのリオネル・メッシが2017年にバルセロナFCと結んだ4年5億5500万ユーロ(約860億円)をも超えて、世界スポーツ最高額となった。

 詳細はまだ不明ながら、今回の契約のかなりの額は「後払い」形式になっているという。MLBにおける契約の後払いとは、一体どのような仕組みになっているのだろうか?

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まず、後払いという手法自体は、大型FA契約においてはそれほど珍しいものではない。最近の例だと、マックス・シャーザー(現レンジャーズ)が15年にナショナルズと結んだ7年2億1000万ドルの契約にも後払いが含まれており、ナショナルズは契約期間終了後の22~28年にかけて毎年1500万ドルもの金額をシャーザーに支払い義務を負っている。
 
 契約期間内の年俸額を抑えることで、チーム全体のペイロールの柔軟性を確保することが後払いの最大の目的。大谷の場合、普通に年平均で計算すれば年俸7000万ドルにも達する。そのうちのかなりの部分を後払い形式にすることで、他の補強に資金を回せるようになる。ドジャースにとってはもちろん、カネより勝利にこだわる大谷にとっても、この後払い形式はメリットが大きいと言える。

 MLB公式サイトによれば、大谷の繰り延べは「前例のない(unprecedented)」規模になると言われているが、過去にも風変わりな繰り延べ契約がなかったわけではない。代表的なところでは、1980年後半~1990年代前半にMLB屈指のスラッガーとして活躍したボビー・ボニーヤの例が有名だ。

 99年オフ、ボニーヤは当時所属していたメッツを解雇された。ただ、この時点で590万ドルの契約が残っていたため、ボニーヤと代理人は球団に対し、支払いを11年まで遅らせる代わり、それ以降は年8%の利子をつけて、25年間の分割で受け取ることを提案した。フレッド・ウィルポン・オーナー(当時)がこれを受け入れたため、ボニーヤは72歳になる35年まで毎年120万ドル近くを手にすることになった。
 
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