MLB

「意外な不人気」失意の1年契約でフィリーズ入りしたグレゴリアス。“恩師”との再会で完全復活を目指す

宇根夏樹

2019.12.21

グレゴリアスは18年にヤンキース遊撃手記録の28本塁打。新天地フィラデルフィアで完全復活となるだろうか。(C)Getty Images

 今オフ、ヤンキースからFAになったディーディー・グレゴリアスは、1年1400万ドルでフィリーズに入団した。遊撃のポジションと来年2月で30歳の年齢からすれば、もっと大きな契約を手にしてもおかしくなかった。『MLBトレードルーマーズ』は11月上旬に発表したFAトップ50で、グレゴリアスを12位に挙げ「3年4200万ドルでレッズと契約」と予想していた。この順位は、今オフのFA市場に出た遊撃手では最も高かった。ところが、ヤンキースはクオリファイング・オファー(1年1780万ドル)を申し出ず。フィリーズ以外の球団も、グレゴリアスに契約を提示することはなかったらしい。

 意外な"不人気"の大きな理由となったのは、FAイヤーの不振だろう。グレゴリアスは昨年10月にトミー・ジョン手術を受け、復帰したのは6月上旬だった。そこから、82試合で16本塁打とパワーは発揮したものの、打撃の内容は芳しくなかった。OPS(出塁率+長打率)は.718に過ぎず、キャリアハイを記録した前年の.829から100ポイント以上もダウンした。
 
 ただ、完全復活を目指すグレゴリアスにとって、フィリーズは最高の環境となり得る。彼の入団に先駆け、フィリーズの監督にはジョー・ジラルディが就任している。15年から17年にかけて、2人は監督と正遊撃手として、ヤンキースでともに過ごした。

 ザック・ウィーラー(5年1億1800万ドルで契約)とともに臨んだ入団会見で、グレゴリアスはジラルディ監督について「僕にとってはメンター(指導者、庇護者)のような存在」と語った。14年のオフにダイヤモンドバックスからヤンキースへ移ったグレゴリアスは、その年限りで引退したデレク・ジーターに代わって遊撃を守った。