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3Aに“塩漬け”された井川、中島はまさかのメジャー出場なし【期待に応えられなかった侍メジャーリーガーたち】<SLUGGER>

藤原彬

2024.01.12

左から秋山、井川、中島。日本球界で輝かしい実績を残した3人だが、メジャーでは実力を発揮できなかった。(C)Getty Images

 このオフは大谷翔平、山本由伸、今永昇太ら日本人選手がストーブリーグの主役となり、その一挙手一投足がアメリカのメディアを賑わせた。だが、過去には大きな期待を受けて海を渡った侍たちが、実力を発揮できずに終わる例も少なくなかった。

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■井川慶(2007~2011)
 同じオフに松坂大輔を獲得したレッドソックスに負けじと、ヤンキースが白羽の矢を立てたのは、当時日本球界最強左腕と言われていた井川。だが、5年2000万ドル+ポスティング料2600万ドルの投資は見るも無残な大失敗に終わり、今もニューヨークでは「ヤンキース史上最悪の失敗」と事あるごとにいじられている。

 1年目は14試合(12先発)で防御率6.25、2年目は2試合で13.50と打ち込まれた時点で早くも見切りをつけられ、以降はマイナー暮らしが続いた。調整法について球団との齟齬が生じ、サイドハンドやアンダースロー転向を勧められるなど、後日談は意思疎通がうまくいかなかった話にあふれている。メジャー昇格の見込みがまったくなくなり、球団は何度か日本球団にトレードしようとしたというが、井川が拒否。3Aで"塩漬け"になる状態が4年近くも続いた。
■秋山翔吾(2020~2022)
 15年にNPB新記録のシーズン215安打を樹立しただけではなく、17年からは3年連続で20本塁打をクリア。日本が誇る安打製造機は19年オフに渡米を決め、レッズから3年2100万ドルの好条件を引き出した。

 メジャーで長く活躍した青木宣親のようなタイプとして期待されたが、1年目はゴールドグラブ最終候補に残るなど守備では一定の貢献を見せたものの54試合で打率.245、0本塁打と打撃は不発。2年目は控えに回り、3年目の開幕前に40人ロースター彼外れて解雇された。その後、パドレス3Aでメジャー再昇格を目指したがかなわず、シーズン途中で帰国した。環境とレベルの違いにも適しやすいタイプと目されていただけに、通算打率.224でノーアーチの結果は、改めて日本人打者成功の険しさも再認識させた。

■西岡剛(2011~2012)
 海を渡る前の10年にはシーズン206安打を記録し、初の首位打者獲得でチームを日本一に導いた。06年WBCなど国際大会での活躍も印象的で、ツインズと3年925万ドルの好条件で契約。翌11年のオープン戦では打撃好調で幸先良好と思わせたが、開幕6試合目に二塁守備の際に走者と交錯して左足腓骨骨折で長期の故障者リスト入り。続くホーム開幕戦での選手紹介には、松葉杖で歩きながら参加した。

 6月に復帰してからはショートを任されたが、攻守ともに精彩を欠き、現地では「2Aの選手にしか見えない」とも酷評された。2年目はマイナーで開幕を迎え、夏場に昇格したものの12打数無安打と結果を出せずに40人から外れた。3Aでも101試合で打率.258、7盗塁で失敗7と結果を残せず、持ち味を見せられないまま、シーズンが終わると翌年の契約解除を申し出て日本球界に復帰した。