プロ野球

こたつでみかん!? 楽天の独創的なファンサービスは、笑顔と感謝が行き交う場所

松山ようこ

2019.12.26

こたつでファンと時間を共有するのも楽しみの一つ。撮影:松山ようこ

 各球団がファンと交流するためのイベント、「ファン感謝祭」をオフシーズンに行なっているのは、多くの方に知られるところだろう。真剣勝負を見る時とは違い、選手たちの素顔に触れられる、貴重な時間だ。

 通称「ファン感」と言われるこのイベントで、特徴的なのが楽天だ。お笑い芸人、サンドウィッチマンの司会による球場内でのイベントはいつも大盛況で、選手たちへ絶妙なイジリ。笑いの絶えない"ショー"的要素にあふれている。

 このファン感で"楽天らしさ"をより感じることができるのが、球場外でのイベントだ。1周すると選手たちがクラフトビール売り場でビールを注いでくれたり、芋煮をふるまっていたり、仮設テントでファンの似顔絵を描いていたり(腕前は……)とにかく距離が近いのだ。

 さらには、引退セレモニーを控えた今江敏晃がチームのグッズ売り場にやってくるわ、見上げればラジオに生出演中の則本昂大や松井裕樹が、ブースの窓から手を振ってくれたり…。球場の外周は、少し歩くだけで選手たちとじかに触れ合う体験ができる。

 選手が訪れると、あちこちで歓声とどよめきがおこる。なかでも何事かというほどの大歓声を起こしたのは、来季からヤクルトでプレーする嶋基宏が登場した時だ。楽天の生え抜きで、最も人気を集めてきたキャプテンに、「嶋さ~ん」「ありがと~う」と、悲鳴にも似た声援が響きわたった。
 
●リラックスするベテランと緊張気味のファンが座談するこたつ

 外周イベントで、異彩を放っていたのが「こたつステーション」だ。広々としたテントに入ると、畳が敷き詰められた広間になっており、こたつとストーブが鎮座する。考案者は、楽天のみんなの"兄貴"で、選手兼任コーチに就任した渡辺直人だ。

 誰に対しても分け隔てなく、距離感を感じさせない渡辺は、ファンともリラックスした様子でみかんを食べながら歓談。最初は緊張気味だったファンも、次第に前のめりになって、どっと笑いが起きるようになるのだ。

 このこたつステーションには、"王子"、岸孝之も参戦。近寄りがたい雰囲気は微塵もなく、王子どころか、まるで近所のお兄さんかのような親しみやすさで、いたって自然体でファンの子供たちと接していた。