プロ野球

【2019引退・投手】日米で頂点に輝いた上原浩治。メッセンジャーや館山昌平ら個性派や名リリーバーも現役を退く

藤原彬

2019.12.31

上原浩治は日米で美酒を浴び、通算100勝、100セーブ、100ホールドを達成した。(C)Getty Images

 来る人がいれば、行く人もいる。新陳代謝は球界の常。ルーキーやFA補強、新外国人の話題がかまびすしい今オフも、ユニフォームを脱いだ選手たちが第2の人生を歩き始めた。2019年の締めくくりに、今季限りで現役生活に別れを告げた投手の活躍を振り返ろう。

 日本シリーズとワールドシリーズで頂点に立った上原浩治(巨人)が、今年5月20日に現役引退を表明した。1998年ドラフト1位で巨人から指名され、迎えたルーキーイヤーの活躍は圧巻だった。20勝(4敗)、勝率.833、179奪三振、防御率2.09の成績で史上10人目の投手四冠に輝き、新人王と沢村賞に加えてベストナインとゴールデングラブ賞も受賞と、投手のタイトルをほぼ総なめ。少ない球種をテンポ良く投げ込み、1時間台で完投勝利を収めた試合もあった。2002年には自身2度目の沢村賞を手にし、五輪やWBCなどでも主戦を任されるなど日本を代表する投手として立場を確立する。09年にオリオールズへ移籍して念願のメジャー挑戦をかなえると、レンジャーズを経て移ったレッドソックス初年度の13年にワールドシリーズで胴上げ投手に。先発と救援で幅広い起用にこたえ続け、日米通算100勝、100セーブ、100ホールドをマークした。
 
 メッセンジャー(阪神)はメジャー通算173登板でいずれも救援だったが、10年の来日後に先発として大きく開花した。先発ローテーションに定着すると、打者を押し込む速球に切れ味鋭い変化球を交えるパワーピッチングで、最多奪三振のタイトルを2回獲得。毎年のように200イニング近くの投球回をこなすタフネスを備え、開幕戦投手を6度任されるほど周囲からの信頼も厚かった。国内FA権を取得して昨年から日本人枠扱いに。並々ならぬラーメンへのこだわりを語るなど、日本を愛した"メッセ"は外国人投手歴代5位の98勝、同1位の1474奪三振を残してグラウンドを後にした。

 サイドに近いアームから変幻自在に多くの球種を操った館山昌平(ヤクルト)は、08年から5年連続で2ケタ勝利を挙げた。08年に最高勝率(.800)、翌09年には最多勝(16)を獲得したが、特有の投球と同等に故障との戦いが印象に強い。3度のトミー・ジョン手術を含む9度も手術を受け、縫合した糸の数は175を数える。近年は一軍のマウンドに立つだけで精一杯だったが、それでも「持てる力をすべて出し切った」現役生活に「悔いはない」。「怪我をしなかったら、見えなかったこと」を糧として、来季は楽天で二軍投手コーチの任に就く。
 
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