プロ野球

二軍の抑えから一軍の勝利の方程式へ。異国の地で“怖さ“を知った漆原大晟は新たな「育成の星」となるか

中島大輔

2020.01.08

大卒2年目の漆原は、プエルトリコで外国人打者への対応を学んだ。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

 育成選手制度がスタートして15年目を迎える2020年、新たに「育成の星」として注目されそうな候補がオリックスにいる。

 大卒2年目の右腕、漆原大晟だ。

 オーバースローから投げ下ろす最速152kmのストレートが最大の武器で、ルーキーイヤーの昨季は4月途中から二軍のクローザーを任された。39試合に登板して1勝23セーブ。防御率は3.52とさほど良かったわけではないが、38.1回で38三振を奪った点に、リリーバーとしての潜在能力を感じさせる。

「1年目は怪我なくできたことがすごく自信になりましたね。ファームでセーブのタイトルを獲ることができたけど、それより年間を通して負けなかったことがすごく成長できた部分でした。でも1年間やってみて、足りない部分があったからこそ支配下登録はまだだったのかな。自分自身でも、足りないと感じることが多々あったので」

 そう話した漆原はシーズンオフ、アメリカ自治領プエルトリコで行われたウィンター・リーグに参加した。球団の提案を受け、「ぜひ挑戦したい」と名乗り出た格好だ。
 
 レベルはマイナーの2Aと3Aの間くらいとされるプエルトリコ・ウィンター・リーグ では、フォークやスライダーなど変化球のレベルアップをテーマに掲げた。

「一番自信があるのはストレートで、苦しい場面になると頼りがちになっていたので、もう一つ使えるボールを増やそうと。変化球の感覚自体はシーズン途中から良くなりつつありました。ブルペンでいろんなピッチャーから握りや感覚を教えてもらって、キャッチボールや実戦で試しながら改良しています」

 常に落ち着いた口調で語る漆原は、内に秘める探究心を成長の糧にしてきた。プエルトリコで派遣されたアテニエンセス・デ・マナティでは、メジャー7年の経験を誇るホアン・センテーニョとバッテリーを組み、多くの質問をぶつけたという。

「(センテーニョは)各ピッチャーの特徴に応じた配球をしていました。だから投げ終わった後に、なぜそういう配球をしたのか、自分が試しているボールがどうだったのか、キャッチャー目線で感じたことを聞きました。プエルトリコのキャッチャーは考え方が違うので、すごく勉強になっていますね」
 
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異国の地であらゆることを「吸収」して成長