毎年1月下旬から2月上旬、MLBのスプリング・トレーニングが始まる直前にカリビアン・シリーズが開催される。カリブ海プロ野球連合(Carribean Professional Baseball Confederation=CPBC)に正式加盟する主要4ヵ国のメキシコ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコと招待国のウインターリーグ王者が出場し、カリブ海諸国ナンバーワンを決める大会だ。
【動画】WBCに勝るとも劣らぬ盛り上がり!2024カリビアン・シリーズのハイライト映像はコチラ
1949年に2人のベネズエラ人実業家の発案によって第1回大会が実施され、キューバ革命の影響による大会中止やフォーマットの変更を経て、今年の第66回大会は13年ぶりにアメリカで開催された。会場となったのはマイアミ・マーリンズの本拠地ローンデポ・パークで、MLB球団のホームスタジアムでカリビアン・シリーズが開催されたのは史上初めてだった。
マイアミには多くのラティーノが住んでおり、ドミニカ共和国対プエルトリコ戦には大会新記録となる3万5972人の観客が詰めかけた。2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の同カードに訪れたのはほぼ同数の3万6025人。カリビアン・シリーズの盛り上がりぶりがよく伝わるだろう。決勝のドミニカ対ベネズエラには3万6677人が観戦に訪れ、WBC決勝の日本対アメリカ戦(3万6098人)を上回るほどだった。
この由緒ある大会に関し、日本の野球ファンにうれしいニュースが飛び込んできた。メキシコのメヒカリで開催される2025年大会に"日本代表"としてジャパンブリーズが招待されることが決まったのだ。
「日本では知名度的にほぼ皆無と言ってもおかしくないですが、カリビアン・シリーズは本当に素晴らしい大会です。だからこそ私が監督をやって少しでも注目を集められたらという気持ちもあります」
7月29日の会見でそう話したのは元DeNA監督で、ジャパンブリーズのCEO兼監督を務めるアレックス・ラミレスだ。同チームでGMを務める色川冬馬氏らとのつながりもあって、大会側から"日本代表"として招待を受け、今年6月にジャパンブリーズは設立された。
カリビアン・シリーズは名前の通りカリブ海諸国で争われる大会だが、なぜそこに日本のチームが招待されることになったのか。
「1992年から日本のチームが参加できないかとアイディアを持っていました」 そう明かしたのは、この日の会見にドミニカ共和国から出席したCPBCのフアン・フランシスコ・プエロ・エレーラ代表だ。以前から日本のNPB、韓国のKBO、台湾のCPBLというプロリーグにオファーしてきたが、返答が届かず今回、ジャパンブリーズの招待に至ったという。
カリビアン・シリーズの面白い点は、中南米の歴史や気質が色濃く表れている点だ。もともとキューバ、プエルトリコ、パナマ、ベネズエラのリーグ王者が出場していたが、キューバ革命による中断から1970年に再開されると、ベネズエラとプエルトリコに加えてドミニカ共和国が参加、翌年にはメキシコも加わった。
中南米各国のウインターリーグでは現状、この4ヵ国がレベル的にも上位に位置する。MLBから選手やコーチが派遣され、彼らの存在はリーグ全体の盛り上がりや選手のレベルアップという面でも不可欠だ。今季、ベネズエラのウインターリーグには、昨季MLB史上初の40本塁打&70盗塁を記録し、満票でナショナル・リーグMVPに輝いたロナルド・アクーニャJr(ブレーブス)が凱旋し、地元のファンは大いに熱狂した。
一方、割りを受けてきたのがキューバだ。中南米屈指の強豪でカリビアン・シリーズのオリジナルメンバーだったが、キューバ革命でアメリカと国交断絶し、1960年を最後に大会から姿を消した。
それから54年後の2014年に招待国として復帰。翌年にベゲーロス・デ・ピナール・デル・リオが初優勝を飾った。その直後、筆者はキューバで優勝メンバーのアルフレド・デスパイネ(元ソフトバンク)に取材する機会があったが、「カリビアンシリーズで勝つのはとても重要だ。キューバは50年以上も参加していなかったからね。その大会で優勝できて、キューバの野球はどれだけ強いかを証明することができた」と話していた。
この大会中、キューバの2選手が亡命するというショッキングな出来事があった。デスパイネは「確かに彼らは亡命したが、それよりキューバとしてチャンピオンになることが重要だ」と即答したが、以降、国際大会中に亡命するキューバ人選手が続出している。
また、カリビアン・シリーズでは優勝賞金(2023年大会は15万ドル)が発生するものの、地元記者によるとキューバには支払われなかった。WBCでも同様の扱いを受けているように、アメリカとの関係性がこうした点にも影響している。2024年大会の開催地がマイアミだったこともあり、キューバは招かれなかった。
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1949年に2人のベネズエラ人実業家の発案によって第1回大会が実施され、キューバ革命の影響による大会中止やフォーマットの変更を経て、今年の第66回大会は13年ぶりにアメリカで開催された。会場となったのはマイアミ・マーリンズの本拠地ローンデポ・パークで、MLB球団のホームスタジアムでカリビアン・シリーズが開催されたのは史上初めてだった。
マイアミには多くのラティーノが住んでおり、ドミニカ共和国対プエルトリコ戦には大会新記録となる3万5972人の観客が詰めかけた。2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の同カードに訪れたのはほぼ同数の3万6025人。カリビアン・シリーズの盛り上がりぶりがよく伝わるだろう。決勝のドミニカ対ベネズエラには3万6677人が観戦に訪れ、WBC決勝の日本対アメリカ戦(3万6098人)を上回るほどだった。
この由緒ある大会に関し、日本の野球ファンにうれしいニュースが飛び込んできた。メキシコのメヒカリで開催される2025年大会に"日本代表"としてジャパンブリーズが招待されることが決まったのだ。
「日本では知名度的にほぼ皆無と言ってもおかしくないですが、カリビアン・シリーズは本当に素晴らしい大会です。だからこそ私が監督をやって少しでも注目を集められたらという気持ちもあります」
7月29日の会見でそう話したのは元DeNA監督で、ジャパンブリーズのCEO兼監督を務めるアレックス・ラミレスだ。同チームでGMを務める色川冬馬氏らとのつながりもあって、大会側から"日本代表"として招待を受け、今年6月にジャパンブリーズは設立された。
カリビアン・シリーズは名前の通りカリブ海諸国で争われる大会だが、なぜそこに日本のチームが招待されることになったのか。
「1992年から日本のチームが参加できないかとアイディアを持っていました」 そう明かしたのは、この日の会見にドミニカ共和国から出席したCPBCのフアン・フランシスコ・プエロ・エレーラ代表だ。以前から日本のNPB、韓国のKBO、台湾のCPBLというプロリーグにオファーしてきたが、返答が届かず今回、ジャパンブリーズの招待に至ったという。
カリビアン・シリーズの面白い点は、中南米の歴史や気質が色濃く表れている点だ。もともとキューバ、プエルトリコ、パナマ、ベネズエラのリーグ王者が出場していたが、キューバ革命による中断から1970年に再開されると、ベネズエラとプエルトリコに加えてドミニカ共和国が参加、翌年にはメキシコも加わった。
中南米各国のウインターリーグでは現状、この4ヵ国がレベル的にも上位に位置する。MLBから選手やコーチが派遣され、彼らの存在はリーグ全体の盛り上がりや選手のレベルアップという面でも不可欠だ。今季、ベネズエラのウインターリーグには、昨季MLB史上初の40本塁打&70盗塁を記録し、満票でナショナル・リーグMVPに輝いたロナルド・アクーニャJr(ブレーブス)が凱旋し、地元のファンは大いに熱狂した。
一方、割りを受けてきたのがキューバだ。中南米屈指の強豪でカリビアン・シリーズのオリジナルメンバーだったが、キューバ革命でアメリカと国交断絶し、1960年を最後に大会から姿を消した。
それから54年後の2014年に招待国として復帰。翌年にベゲーロス・デ・ピナール・デル・リオが初優勝を飾った。その直後、筆者はキューバで優勝メンバーのアルフレド・デスパイネ(元ソフトバンク)に取材する機会があったが、「カリビアンシリーズで勝つのはとても重要だ。キューバは50年以上も参加していなかったからね。その大会で優勝できて、キューバの野球はどれだけ強いかを証明することができた」と話していた。
この大会中、キューバの2選手が亡命するというショッキングな出来事があった。デスパイネは「確かに彼らは亡命したが、それよりキューバとしてチャンピオンになることが重要だ」と即答したが、以降、国際大会中に亡命するキューバ人選手が続出している。
また、カリビアン・シリーズでは優勝賞金(2023年大会は15万ドル)が発生するものの、地元記者によるとキューバには支払われなかった。WBCでも同様の扱いを受けているように、アメリカとの関係性がこうした点にも影響している。2024年大会の開催地がマイアミだったこともあり、キューバは招かれなかった。