プロ野球

【ドライチたちの現在地】首脳陣からの評価は上々!向上心溢れるヤクルト・清水昇は1軍定着も視野に

山本祐香

2020.01.15

初年度からフォームの改造に着手した清水。1軍定着を目指す努力は続く。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

 プロ野球の12球団はすでに新人合同自主トレをスタートさせている。この時期の風物詩にもなっているが、1年前の今頃にも、同じように騒がれた選手たちがいた。1年のプロ経験を経て、昨年の金の卵たちはどのような日々を送ってきたのだろうか。今回はヤクルトのドライチとして入団した、清水昇を紹介する。

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「戦国東都」、そう称されて久しい強豪ひしめく東都大学野球リーグで、國學院大学のエースとしてチームを引っ張ってきた清水昇は、2018年秋のドラフトでヤクルトから1位指名を受けた。

 大学時代は1年秋のリーグ戦にリリーフで初登板すると、2年春からは先発で出場。4年春には最優秀防御率(1.75)に輝き、東都大学野球リーグを代表する投手のひとりとなった。清水と同学年で、当時東洋大の主将だった中川圭太(オリックス)に「他大学でリーグナンバーワンピッチャーを選ぶとしたら誰か」を問うたときには「清水」と即答したほどだ。

 清水の良さは、多彩な変化球と緩急をつけながらの投球ができるところ、そして粘り強く試合を作っていけるところにある。調子がいいときも悪いときも淡々と投げ続ける姿には、國學院大のエースとしてのプライドを感じたものだ。
 
 ヤクルトの小野寺力二軍投手コーチは清水をこう評価している。

「清水には、ドラフト1位で入ってきたという自信というか、悪い意味ではないプライドがある。周りに負けたくないという向上心もあるだろうし、気持ちも強くて、この子はいいなと思った」

 一方、技術面では、プロでやっていくために乗り越えなければならない課題があった。

 過去には、最速151km/hを計測したこともある清水だったが、プロ入り当初のストレートの速さは140km/hを少し超える程度。投げる瞬間に、軸足となる右足を必要以上に曲げたまま球を送り出すようにしていたため、どんなに腕を振って投げても下半身の力がうまく伝わらず、球速が上がらなかった。

 また、肘の使い方も故障に繋がりかねないと判断した小野寺コーチは、本来、入団したばかりの選手の投球フォームを直すことはしないが、橿渕聡スカウトグループデスクと話し、改良に着手することにした。

 その結果、球速は149km/hまで伸び、コントロールも安定して二軍の試合では結果が出るようになってきた。しかし、一軍では11試合に登板、3試合で先発し、0勝3敗、防御率7.27という成績で終わった。

 小野寺コーチは言う。

「ファームでは、これが一軍でもできれば、という素晴らしいピッチングをする日もあったが、一軍ではできなかった。緊張感とか、慣れとかもあるし、長い期間一軍で見てもらえればいいんですけどね。プロだから1回チャンスを与えて結果を出せなかったら下に行けと言われても仕方ない。もどかしいですね」