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MLB

このオフだけで55億円以上を荒稼ぎ! 超大型契約を次々にまとめる「スーパー・エージェント」ボラスの辣腕

宇根夏樹

2020.01.16

昨オフにFA市場が冷え込ん際は補強を渋るオーナーを舌鋒鋭く批判していたボラスだが、今年は笑いが止まらない。(C)Getty Images

昨オフにFA市場が冷え込ん際は補強を渋るオーナーを舌鋒鋭く批判していたボラスだが、今年は笑いが止まらない。(C)Getty Images

 まさしく「スーパー・エージェント」だ。このオフ、代理人のスコット・ボラスがまとめた契約の総額は10億ドルを超えた。一人の代理人によるものとしては、おそらく史上最高額新記録だろう。金額順に並べた契約は以下のとおりだ。

ゲリット・コール(ヤンキース)    9年3億2400万ドル
スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)    7年2億4500万ドル
アンソニー・レンドーン(エンジェルス)    7年2億4500万ドル
リュ・ヒョンジン(ブルージェイズ)    4年8000万ドル
マイク・ムスタカス(レッズ)    4年6400万ドル
ダラス・カイケル(ホワイトソックス)    3年5550万ドル

 6人の契約の合計は10億1350万ドルに上る。ボラスは「ボラス・コーポレーション」を率いているので、報酬のすべてを一人で手にするわけではないが、仮に契約の5%を報酬として計算すると5067万5000ドル、日本円にして何と55億円以上に達する。
 もっとも、ボラスの辣腕ぶりは今に始まったことではない。2019~20年のストーブリーグが幕を開ける前の時点で、ボラス/ボラス・コーポレーションがまとめた総額2億ドル以上の契約は5件あった。MLB全体では延長契約を含めて16件だったので、その3割以上を占めていたことになる。

 もちろん、これはどのエージェント/エージェンシーよりも高い割合だ。その後、コール、ストラスバーグ、レンドーンが総額2億ドル以上の契約を手にしたことで、ボラスの占有率は4割以上にまで上がっている。3人を除くと、今オフに2億ドル以上の契約を得た選手はいない。

 代理人に転身する前、ボラスは1974~77年に内野手としてマイナーリーグでプレーしていた。元選手の代理人は他にもいる。エクセル・スポーツ・マネージメントでザック・グレインキー(アストロズ)や田中将大(ヤンキース)、秋山翔吾(レッズ)らの代理人を務めるケイシー・クローズは、現役時代は外野手。89年にマリナーズ傘下の3Aで打率.330という好成績を残していて、選手としての実績はボラスを上回る。

 なお、現時点でFA市場に残っている選手の中では、ニコラス・カステヤノスもボラスのクライアント。新契約が1億ドルに届くことはないだろうが、5000万ドルは十分射程圏内にある。ボラスの快進撃は今後も続きそうだ。

文●宇根夏樹

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【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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