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背番号1の山口は自慢のスプリッターでヤンキースの“すごい奴ら”をきりきり舞いさせられるか?

宇根夏樹

2020.01.20

ブルージェイズに入団した山口は強豪が集まるア・リーグ東地区で結果を残せるだろうか?(C)Getty Images

 ブルージェイズに入団した山口俊は、背番号1のユニフォームを着てマウンドに立つ。メジャーで登板する背番号1ケタの日本人投手は山口が初めてだ。

 ただ、メジャーで登板する背番号1ケタの日本人選手は山口が最初ではない。2017年にアストロズで1登板した青木宣親(現・東京ヤクルト)は、背番号3だった。

 6月30日のヤンキース戦、青木は4対10とリードされた9回表から6番手として登板した。コントロールが定まらずに最初の2人を歩かせ、そこから3点を奪われたものの、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)からは初球で空振りを奪い、3球目で平凡なセンターフライに仕留めてイニングを終えた。

 この年、ジャッジはリーグ最多の52本塁打を放ち、1987年のマーク・マグワイア(49本塁打)を抜いて、新人のシーズン記録を打ち立てた(19年にメッツのピート・アロンゾが53本塁打で更新)。ジャッジは満票で新人王に選ばれ、MVP投票では2位に入った。
 
 その後2年(18~19年)は故障に長期離脱が響いて27本塁打ずつにとどまっているものの、ジャッジの凄まじいパワーは健在だ。スタットキャストによると、打球の平均初速は3年続けてMLB全選手トップ(100打球以上)。19年の平均初速95.9マイルは、スタットキャスト史上2位に位置する。ちなみに1位は、現在ヤンキースでジャッジと打線の中軸を担うジャンカルロ・スタントンがマーリンズで15年に記録した96.0マイルだ。スタントンが17年に放った59本塁打は、2010年代のMLBで最多の本数である。

 ジャッジとスタントンが在籍するヤンキースと、山口擁するブルージェイズは今シーズン、4月2、4、5日の3試合を皮切りに19試合対戦する。先発とリリーフのどちらを務めるにせよ、山口が2人と対決する機会は必ず訪れるだろう。

 かつてピンク・レディーは、魔球ハリケーンで背番号1のすごい奴をきりきり舞いさせようとした。背番号1の山口は、スプリッターでヤンキースの"すごい奴ら"、ジャッジとスタントンをきりきり舞いさせることができるだろうか。

文●宇根夏樹

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【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。