いよいよ始まるプロ野球春季キャンプ。2025シーズンの新たな戦いに向けて、今年も多くの外国人選手たちが日本へとやって来る。しかし近年では、チームに定着するような”助っ人”は一握り。実力を発揮し、戦力としてチームに貢献できるかどうかはやってみなければわからない。
【画像】12球団のドラフト1位指名された選手たちの顔ぶれ 「こんな考え方を持つ選手ならば、チームに何かを残すかもしれないーー」。昨年11月に沖縄で開催されていたジャパンウィンターリーグ(JWL)で、そう思わせる選手に出逢った。
ロビー・テネロビッツ(30)。2016年にドラフト27巡目でタンパベイ・レイズに入団し、昨シーズンまでの9年間でマイナーリーグ4球団を渡り歩き、2023年にはシアトル・マリナーズの3Aと2Aで計134試合に出場し、打率.282、19本塁打、101打点の成績を残している。しかし9年間でメジャーでのプレー経験はゼロ。年齢的な部分もあって、NPBの海外担当スカウトがリストアップしづらい選手だ。
蓄えた顎髭はメジャーリーグの強打者ジャスティン・ターナー(マリナーズ)や、古くはランディ・バース(元阪神)のようなパワーヒッターを連想させ、そのイメージ通りにティーバッティングで測定した平均打球速度は、参加選手の中でトップの159.5キロを計測し、パワーを見せつけた。
一見怖そうな容姿だが、常に愛嬌ある笑顔を絶やさず、言葉の壁などお構いなしにコミュニケーションを積極的にとる姿に、当初は「陽気なアメリカンパワーヒッターだな」という印象を持った。
そんな男が開幕戦で、挨拶代わりのホームランをレフトスタンドへ叩き込み、早速持ち前の長打力をアピールした。その後も勢いが止まらなかった無名のマイナーリーガーは、前半のみの9試合に出場し打率.364、出塁率.423、リーグトップタイの3本塁打を記録し、長打率.773と好成績を残した。
実際にJWLで対戦した横浜DeNAの育成投手・草野陽斗(20)は、打席での印象をこう語っている。
「大袈裟ではなく、同じチームのオースティンに似ているなと思いました。ガタイもデカくて威圧感がありましたし、パワーもある。インコースは引っ張るし、アウトコースはそのまま流して長打が打てるので、日本でプレーしていてもおかしくないレベルの選手だと思いました。相手チームにいたら怖い存在ですね」
そんなロビーの打撃に衝撃を受けたが、強く印象に残ったのは初ホームランの直後の行動だった。ベンチに戻ったロビーは、すぐにアナリストの元へ向かい、タブレット端末を確認していたのだ。
「自分の感覚では、若干タイミングがずれていたと思いましたが、バットスピード(バットの芯部分のスピード)が速かったからホームランになったことが分かりました。バッティングでまず大切なのはスイング軌道ですが、基本的にはバットスピードがないと、完璧なタイミングの打球以外はホームランになりません。バットスピードはそのために必要になってくるのですが、それを打ってすぐに確認できたのはよかったです」
JWLでは、スイングデータを測定できるブラストモーションという機器を全選手のバットに装着し、実戦での打撃データを計測している。ロビーは出した結果の余韻に浸ることなく、今後の打席につなげるために、自分の感覚ではタイミングがズレていた打球がなぜホームランになったのかをデータで確認したということだが、自分の打撃について丁寧に説明する姿は、打球からイメージされた豪快さとのギャップが大きかった。聡明さを感じさせる打撃へのアプローチは、いったいどこで身につけたものなのか。
「オフにはずっとドライブラインでトレーニングをしているので、データを活用した野球には慣れているんです」
【画像】12球団のドラフト1位指名された選手たちの顔ぶれ 「こんな考え方を持つ選手ならば、チームに何かを残すかもしれないーー」。昨年11月に沖縄で開催されていたジャパンウィンターリーグ(JWL)で、そう思わせる選手に出逢った。
ロビー・テネロビッツ(30)。2016年にドラフト27巡目でタンパベイ・レイズに入団し、昨シーズンまでの9年間でマイナーリーグ4球団を渡り歩き、2023年にはシアトル・マリナーズの3Aと2Aで計134試合に出場し、打率.282、19本塁打、101打点の成績を残している。しかし9年間でメジャーでのプレー経験はゼロ。年齢的な部分もあって、NPBの海外担当スカウトがリストアップしづらい選手だ。
蓄えた顎髭はメジャーリーグの強打者ジャスティン・ターナー(マリナーズ)や、古くはランディ・バース(元阪神)のようなパワーヒッターを連想させ、そのイメージ通りにティーバッティングで測定した平均打球速度は、参加選手の中でトップの159.5キロを計測し、パワーを見せつけた。
一見怖そうな容姿だが、常に愛嬌ある笑顔を絶やさず、言葉の壁などお構いなしにコミュニケーションを積極的にとる姿に、当初は「陽気なアメリカンパワーヒッターだな」という印象を持った。
そんな男が開幕戦で、挨拶代わりのホームランをレフトスタンドへ叩き込み、早速持ち前の長打力をアピールした。その後も勢いが止まらなかった無名のマイナーリーガーは、前半のみの9試合に出場し打率.364、出塁率.423、リーグトップタイの3本塁打を記録し、長打率.773と好成績を残した。
実際にJWLで対戦した横浜DeNAの育成投手・草野陽斗(20)は、打席での印象をこう語っている。
「大袈裟ではなく、同じチームのオースティンに似ているなと思いました。ガタイもデカくて威圧感がありましたし、パワーもある。インコースは引っ張るし、アウトコースはそのまま流して長打が打てるので、日本でプレーしていてもおかしくないレベルの選手だと思いました。相手チームにいたら怖い存在ですね」
そんなロビーの打撃に衝撃を受けたが、強く印象に残ったのは初ホームランの直後の行動だった。ベンチに戻ったロビーは、すぐにアナリストの元へ向かい、タブレット端末を確認していたのだ。
「自分の感覚では、若干タイミングがずれていたと思いましたが、バットスピード(バットの芯部分のスピード)が速かったからホームランになったことが分かりました。バッティングでまず大切なのはスイング軌道ですが、基本的にはバットスピードがないと、完璧なタイミングの打球以外はホームランになりません。バットスピードはそのために必要になってくるのですが、それを打ってすぐに確認できたのはよかったです」
JWLでは、スイングデータを測定できるブラストモーションという機器を全選手のバットに装着し、実戦での打撃データを計測している。ロビーは出した結果の余韻に浸ることなく、今後の打席につなげるために、自分の感覚ではタイミングがズレていた打球がなぜホームランになったのかをデータで確認したということだが、自分の打撃について丁寧に説明する姿は、打球からイメージされた豪快さとのギャップが大きかった。聡明さを感じさせる打撃へのアプローチは、いったいどこで身につけたものなのか。
「オフにはずっとドライブラインでトレーニングをしているので、データを活用した野球には慣れているんです」