崖っぷちのホスト国が一騎打ちを制した。

　2026年３月に開催される第６回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）の予選ラウンドが現地２月25日に台湾・台北市で行なわれ、台湾がスペインに６対３で勝利を収め、６大会連続となる本大会出場を決めた。最後の１枠を掴み取り、超満員の台北ドームは熱狂に包まれた。
【動画】WBC本大会進出に執念を燃やす、台湾の超スーパープレー

　参加４チームのうち、３戦全勝の首位ニカラグアがすでに出場権を獲得。この日は最後の切符をかけて２位・スペインと３位の台湾が激突した。

　試合は初回から点の取り合いとなった。台湾は１死一、二塁で４番の張育成が二塁打を打ち、地元の大声援を背に戦う台湾がまず先取する。さらに１死二、三塁から元西武ライオンズの呉念庭が二ゴロの間に１点を追加した。

　スペインに１点を返された台湾は２回表、１死満塁のビッグチャンスをつくると相手の押し出し四球で３対１と２点差に広げる。大量得点の好機だったが、後続が倒れ追加点を奪えず。その裏、スペインが１死二、三塁から犠飛で再び１点差に迫った。

　３回以降は両チーム無得点が続いたが６回表、台湾は先頭打者が中安打で出塁。すかさず二盗を決めて無死二塁の好機をつくると、23年アジアプロ野球チャンピオンシップで日本と戦った蔣少宏が三塁方向に送りバント。これをスペインの三塁手ワンダー・エンカーナシオンが悪送球してしまい、台湾が欲しかった１点をもぎとる。

　さらに１点を狙う台湾は次打者が再び三塁線へ送りバント。なんでもない平凡なゴロだったが、なんとエンカーナシオンがまたも送球をそらしてしまい、台湾が加点。５対２と３点差に広げると地元ファンから大歓声が上がり、逆にエンカーナシオンはガクッと膝をつき、痛恨の連続ミスに涙目で天を見上げた。
  　勝てば出場権を獲得するスペインはその裏、５番のラスベル・エストラーダが左翼スタンドに反撃のソロホームランを放ち２点差に迫る。すると７回裏、スペインは日本ハムの孫易磊から２つの四球とシングルヒットで１死満塁と一打逆転のチャンスを広げる。押せ押せムードだったが、ギアを上げた孫易磊が２者連続三振を奪い気合の雄叫び。台湾が最大の窮地をしのいだ。

　ピンチを脱した台湾は８回表、１死一、三塁で楽天モンキーズの林子偉が貴重な左犠飛で６対３とリードを広げる。強力スペイン打線に９安打を浴びながら、要所で抑えた台湾投手陣が踏ん張り、９回はクローザーの曾峻岳が圧巻の三者連続三振で仕留めてゲームセット。初戦で大敗（５対12）を喫した相手に見事リベンジを果たした。

　前回23年大会で優勝した日本は既に出場権を得ている。３月には米アリゾナ州ツーソンで予選が行なわれ、中国、コロンビア、ドイツ、ブラジルが参加する。上位２チームが本戦に出場でき、この結果を受けて26年WBCの出場全20チームが決定する。

構成●THE DIGEST編集部

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