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“魚雷バット”発明者、48歳の物理学者が一躍時の人に「普段よりカメラの数が多い」前ヤ軍アナリストで、現在はマ軍コーディネーター。新型バット発案のきっかけは…

THE DIGEST編集部

2025.04.02

魚雷バットを使ったオースティン・ウェルズは、ブルワーズとの3連戦で2本のアーチを放った。(C)Getty Images

魚雷バットを使ったオースティン・ウェルズは、ブルワーズとの3連戦で2本のアーチを放った。(C)Getty Images

 ニューヨーク・ヤンキースの複数選手が使用し、本塁打を量産したことで注目が集まっている「トルピード(魚雷)バット」。その発明者に大きなスポットライトが当たった。『MLB.com』が現地3月31日に報じた。

「31日の午後、最も多くの記者やカメラが押し寄せたのは、スーパースターのフアン・ソトでもフランシスコ・リンドーアでもなく、マイアミ・マーリンズの控えめなフィールド・コーディネーター、アーロン・リーンハートだった。リーンハートこそ、大きな話題になっているトルピードバットの発明者だ」

 多くのメディアに囲まれたリーンハートは、「普段よりカメラの数が多いね。いつもはカメラの前に別の人がいて、僕はその後ろを歩いている。たしかにこの2~3日は現実じゃないような日々だね」と語った。

 48歳のリーンハートは、ミシガン大で電気工学の学士号、名門マサチューセッツ工科大(MIT)で物理学の博士号を取得。MIT 在学中にNASAの資金援助を受けた研究にも参加し、その後はミシガン大で物理学の教授を務めた。

 野球が好きでミシガン大の野球チームに選手として入ろうとしたが、入団には至らなかった過去も持っている。「野球が楽しかったんだ。物理学を専攻していた時は、そんな気持ちにはならなかったから」と振り返ったリーンハートは、大学野球チームなどでコーチの経験を積み、2018年にヤンキースに加入。傘下マイナーチームの打撃コーチ、メジャーのアナリストなどヤンキース内でさまざまな仕事を務めていた。

 リーンハートがトルピードバットを考案し始めたのは、22年から23年にかけての時期。マイナーの打撃コーディネーター補佐として定量的情報をフィールドでのパフォーマンスに活かすため、アナリスト部門とメジャーのコーチ陣のパイプ役を務めていた頃だ。

【動画】魚雷バットを使用したチゾムJr.のホームラン!
 
 何年も選手たちと打撃について議論してきたリーンハートは、打者がもっとも関心を持っている2つのポイントに気が付いた。ひとつは正確なバットコンタクト、もうひとつはバットの“スイートスポット”、つまりバットの密度が最も高い箇所でボールを打ち返したいと望んでいることだった。

「本当にひらめいた瞬間は、選手がボールを打つポイントがバットの一番太い部分ではなく、少し手前だと気付いた時だった。そして、選手にこう言ったんだ。“よし、ひっくり返そう。見た目は変だろうけど、やってみよう。それでいいかい?”」

 米メディア『The Athletic』は、リーンハートの考えをさらに説明。「多くの選手たちは、バットの先端からおそらく6~7インチ(約15.2~17.8センチ)下の位置で打ちたいと思っている。そこが通常のスイートスポットだからだ。でも僕は先端部分の重量を選手個々に適したスイートスポット部分に集められたら、と考えた。ほかの箇所の余分な重量を取り除き、その除いた重量を選手が好む場所に集めてスイートスポットにする。これが本来のコンセプトだ」と本人のコメントを紹介している。

 それでも、トルピードバットが出来上がるまで、さらに時間を要した。選手たちはデザインについて意見し、リーンハートは設計図を何度も作り直した。実験と調整を何度も繰り返し、23年から24年にかけてついに新型バットが完成。24年シーズン中に何人かの選手が試合で使用し、25年になって本格的に脚光を集めるようになった。

 ただ、あくまでスイングするのは選手個人であって、トルピードバットを使用したからと言って必ず打てるわけではないとリーンハートは力説している。

『MLB.com』の記事でリーンハートは、「結局のところ、大事なのは打者本人であって、バットなんかじゃない。重要なのは打者と打撃コーチで、道具ではないんだ。僕は選手を手助けできてうれしく思っている。最終的に、いいスイングをして毎日ベストを尽くすのは選手たち。だから、彼らの努力を称賛したい。僕は選手たちの疑問に、自分なりの回答をだしただけさ」と語った。

 ヤンキースでの仕事を務め上げ、今年からマーリンズのフィールド・コーディネーターに就任したリーンハート。しばらくはメディアから注目を集める存在になりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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