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米記者が指摘した佐々木朗希の“異変”。球速低下、奪三振ゼロよりも指揮官が懸念する「コマンド不足」

THE DIGEST編集部

2025.05.11

ダイヤモンドバックス戦に中5日で先発した佐々木。メジャー自己ワーストの5失点で降板した。(C) Getty Images

 現地5月9日、ロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希がアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦にプロ入り初の中5日で先発したが、5回途中まで61球を投げ5安打3四死球5失点を喫した。チームは逆転勝利を収めたが、右腕は今季2勝目を飾ることはできなかった。
【動画】メジャーで苦戦続く佐々木朗希。MLBハイライト

 日本人ルーキーの苦境が続いている。佐々木はプロ入り初の1イニング2被弾を浴びるなどメジャー自己ワーストの5失点でKOされた。

 結果もそうだが、この日気掛かりだったのは平均球速だ。160キロ超えの豪速球が最大の強みである佐々木の平均球速は94.8マイル(152.5キロ)で、この日の平均球速は米データサイト『Baseball Savant』によると、1.3マイルほど落ちていた。4回にルルデス・グリエルに投じた初球は最速157キロが出ていたとはいえ、打者を圧倒するような直球はほぼなく、佐々木はプロ入り後初めて三振を1個も奪えなかった。
 
 佐々木の"異変"は現地記者も見抜いている。カリフォルニア州の地元紙『The Orange County Register』のビル・ブランケット記者は「ササキの球速低下と効果の欠如は最も不可解である」と言及しており、「日本では最速103マイル(約165キロ)を記録することで有名なササキだが、ドジャースではわずかな時間、それも東京での開幕戦の初回しかその威力を発揮していない」と指摘。ダイヤモンドバックス戦の平均球速や空振りを取れなかった点を不安視した。

 一夜明け、ロバーツ監督は佐々木の球速低下については「あまり心配していない」と楽観視しているが、別の部分について心配な点を挙げている。

「コマンドの方が心配だ。もし99マイル(約160キロ)の球速がなければ、コマンドがより優先される。球速が出ないときは、ボールをよりコントロールしなければならないんだ」

 指揮官が重視するコマンドとは、「狙ったところにボールを投げる能力」のことだ。スピードがなければないなりに、コースにズバッと決めることができれば抑えることはできる。佐々木自身は試合後、「何が根本的な原因なのかを(コーチと)突き止めようとしている。本当にまだその過程にいる」と認めており、課題の制球力も含めてスプリットやスライダーの切れを磨いていくことが、メジャー生き残りのカギとなっていきそうだ。

 ロバーツ監督は苦悩する日本人右腕について、「彼はまだメジャー1年目のシーズンだから、このリーグを学び、自分の足場を固めるために多少の猶予期間は必要なんだ」と援護しており、しばらくは成長を見守る方針を示している。

構成●THE DIGEST編集部

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