鈴木誠也の闘いは、どのぐらい正確に日本に伝わっているのだろう。
【動画】「冷たっ!」仲良しのPCAから胸元に水を流し込まれる鈴木誠也にファンもほっこり?
朝からテレビで「大谷翔平」や「ドジャース」という言葉が聞こえてきて、まるでその2つだけがメジャーリーグであるかのような幻想を抱きそうな中、「鈴木誠也」や「カブス」については、どれぐらい伝わっているのだろうか。
事実を書いてみる。
① 鈴木は5月21日(現地)終了時点で、ナショナル・リーグの打点王を争っている。
43打点はアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に次いでメジャー2位で、ナショナル・リーグ1位。42打点のウィルマー・フローレス(ジャイアンツ)とトップの座を争う日々である。もちろん、打点は前の打者が走者として生還してこそ生まれる数字で、鈴木自身も「周りの選手がたくさん打ってくれなきゃ、打点なんて増えないんで、周りに感謝すかね」と言ってるぐらいだ。それに、シーズン序盤のタイトル争いにはあまり大きな意味はない。
大事なのは、彼が打点王争いをしている相手に、今季大ブレイク中の同僚「PCA」こと、ピート・クロウ・アームストロングや、先日1試合4本塁打を記録したエウヘニオ・スアレス(ダイヤモンドバックス)、ピート・アロンゾ(メッツ)、そして、大谷翔平と本塁打王を争うカイル・シュワバー(フィリーズ)ら錚々たる面々が名を連ねていることだろう。どのチームも強力打線のおかげで序盤のペナントレースをリードしており、その中で着実に打点を稼いでいるのは、鈴木が強いチームの強力打線の中心として機能していることを意味している。
② 鈴木は今、チーム事情により「第4の外野手」として便利に起用されている。
基本的には「指名打者」。レギュラーの外野手が怪我をしたり、守備の負担を減らしたい時に外野を守るのが鈴木の役割になっている。事実、5月7日にカイル・タッカー右翼手が「指名打者」に入った時は「右翼」に入り、9日に「指名打者」に戻ったかと思えば、イアン・ハップ左翼手が左脇腹を傷めて負傷者リスト(IL)に入ると、10日からは9試合連続で「左翼」を守った。
本来の「右翼」時代によく見せた、後逸するリスクを殺しながらのスライディング・キャッチを「左翼」でも再現するなどして、クレイグ・カウンセル監督からは「慣れないポジションなのに、平均以上のプレーをしてくれている」と高評価を与えられた。ただし、20日にハップが復帰すると、タッカーが「指名打者」に入って「右翼」に入った。「便利に起用されている」というのはそういう部分で、タッカーが「右翼」に戻れば、鈴木も「指名打者」に戻るのが既定路線である。
まず何よりも、今季、何試合か欠場した原因である右手首の調子が疑わしい。鈴木自身が「野球やってりゃ、どこかしら痛いところは出てくる」と言うように、プロ野球選手にとって何らかの問題を抱えながらプレーするのは珍しくないのかもしれない。鈴木は4月7日のレンジャーズ戦でヘッドスライディングで二盗に成功し、今季初盗塁を決めた際に患部を傷め、ロサンゼルスでのドジャース戦(同13日)から3試合を欠場した。怪我については、あまり詳細を話さないし、そういう仕草も見せない選手で、「バットが振れるなら、試合に出なきゃいけないと思ってる」としか言ってないが、言わずもがなだ。
右手首の状態と直接的な因果関係はないだろうが、5月に入ると極端に打撃の調子が落ちた。とりわけ2日からの11試合では打率.106(47打数5安打)、OPS.316で15三振と奮わず、一時は3割近くあったシーズン打率も.239まで落ちた。
立場としては、日本プロ野球に高額契約でやってきた外国人選手とまったく同じである。活躍すれば称賛されるだろうが、活躍しなければ酷評されるのが「外国人選手」の常だ。とりわけ、出場選手登録の26人中、実に22人が米国出身選手で占める「ほぼアメリカ人だけのチーム」にあって、彼にかかるプレッシャーは相当なものだろう。
いつだったか、鈴木はこう言ったことがある。
「実際にこっちに来てみないと分からないことはいっぱいあるし、実際にこっちでやってみないと、言えないことっていっぱいあると思う。自分がこっち(米国)に合ってるとは思わないけど、自分のキャリア・アップと言うか、人間として成長するためにという部分はある」
だからだろう。彼はたとえば、②のチーム事情によって便利に起用されている現状についても「難しいのは、難しいけど」と前置きながらこう言うのである。
③ 鈴木が今、調子が良いかどうかは疑わしい。
【動画】「冷たっ!」仲良しのPCAから胸元に水を流し込まれる鈴木誠也にファンもほっこり?
朝からテレビで「大谷翔平」や「ドジャース」という言葉が聞こえてきて、まるでその2つだけがメジャーリーグであるかのような幻想を抱きそうな中、「鈴木誠也」や「カブス」については、どれぐらい伝わっているのだろうか。
事実を書いてみる。
① 鈴木は5月21日(現地)終了時点で、ナショナル・リーグの打点王を争っている。
43打点はアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に次いでメジャー2位で、ナショナル・リーグ1位。42打点のウィルマー・フローレス(ジャイアンツ)とトップの座を争う日々である。もちろん、打点は前の打者が走者として生還してこそ生まれる数字で、鈴木自身も「周りの選手がたくさん打ってくれなきゃ、打点なんて増えないんで、周りに感謝すかね」と言ってるぐらいだ。それに、シーズン序盤のタイトル争いにはあまり大きな意味はない。
大事なのは、彼が打点王争いをしている相手に、今季大ブレイク中の同僚「PCA」こと、ピート・クロウ・アームストロングや、先日1試合4本塁打を記録したエウヘニオ・スアレス(ダイヤモンドバックス)、ピート・アロンゾ(メッツ)、そして、大谷翔平と本塁打王を争うカイル・シュワバー(フィリーズ)ら錚々たる面々が名を連ねていることだろう。どのチームも強力打線のおかげで序盤のペナントレースをリードしており、その中で着実に打点を稼いでいるのは、鈴木が強いチームの強力打線の中心として機能していることを意味している。
② 鈴木は今、チーム事情により「第4の外野手」として便利に起用されている。
基本的には「指名打者」。レギュラーの外野手が怪我をしたり、守備の負担を減らしたい時に外野を守るのが鈴木の役割になっている。事実、5月7日にカイル・タッカー右翼手が「指名打者」に入った時は「右翼」に入り、9日に「指名打者」に戻ったかと思えば、イアン・ハップ左翼手が左脇腹を傷めて負傷者リスト(IL)に入ると、10日からは9試合連続で「左翼」を守った。
本来の「右翼」時代によく見せた、後逸するリスクを殺しながらのスライディング・キャッチを「左翼」でも再現するなどして、クレイグ・カウンセル監督からは「慣れないポジションなのに、平均以上のプレーをしてくれている」と高評価を与えられた。ただし、20日にハップが復帰すると、タッカーが「指名打者」に入って「右翼」に入った。「便利に起用されている」というのはそういう部分で、タッカーが「右翼」に戻れば、鈴木も「指名打者」
まず何よりも、今季、何試合か欠場した原因である右手首の調子が疑わしい。鈴木自身が「野球やってりゃ、どこかしら痛いところは出てくる」と言うように、プロ野球選手にとって何らかの問題を抱えながらプレーするのは珍しくないのかもしれない。鈴木は4月7日のレンジャーズ戦でヘッドスライディングで二盗に成功し、今季初盗塁を決めた際に患部を傷め、ロサンゼルスでのドジャース戦(同13日)から3試合を欠場した。怪我については、あまり詳細を話さないし、そういう仕草も見せない選手で、「バットが振れるなら、試合に出なきゃいけないと思ってる」としか言ってないが、言わずもがなだ。
右手首の状態と直接的な因果関係はないだろうが、5月に入ると極端に打撃の調子が落ちた。とりわけ2日からの11試合では打率.106(47打数5安打)、OPS.316で15三振と奮わず、一時は3割近くあったシーズン打率も.239まで落ちた。
立場としては、日本プロ野球に高額契約でやってきた外国人選手とまったく同じである。活躍すれば称賛されるだろうが、活躍しなければ酷評されるのが「外国人選手」の常だ。とりわけ、出場選手登録の26人中、実に22人が米国出身選手で占める「ほぼアメリカ人だけのチーム」にあって、彼にかかるプレッシャーは相当なものだろう。
いつだったか、鈴木はこう言ったことがある。
「実際にこっちに来てみないと分からないことはいっぱいあるし、実際にこっちでやってみないと、言えないことっていっぱいあると思う。自分がこっち(米国)に合ってるとは思わないけど、自分のキャリア・アップと言うか、人間として成長するためにという部分はある」
だからだろう。彼はたとえば、②のチーム事情によって便利に起用されている現状についても「難しいのは、難しいけど」と前置きながらこう言うのである。
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