6月23日終了時点でセ・リーグ最下位に沈んでいるヤクルト。19勝43敗で勝率.306、得失点差-99も12球団ダントツワーストで、5位の中日にも9.5ゲーム差をつけられている。また、二軍も17勝43敗、勝率.283と一軍以上に黒星街道を突っ走っている。
【記事】上位指名投手を先発として育成できず、結果的に野手陣も先細り...ヤクルトの記録的低迷を招いた「ドラフトの失敗」【前編】
記録的低迷の大きな要因として挙げられるのが、ドラフト上位指名の投手を先発として戦力化できていないことだ。そこで、過去10年のドラフト1位、2位で指名した投手の成績を振り返ってみた。総合的な勝利貢献度を示すWARも含めて検証すると、投手育成失敗の系譜が改めて浮かび上がってくる――。
※成績は6月23日終了時点。データ提供:DELTA
【前編から続く】
▼2020
1位:木澤尚文(慶応大)
【試合】184 【投球回】192.1 【勝敗S】16-10-5 【防御率】3.04 【WAR】1.2
2位:山野太一(東北福祉大)
【試合】28 【投球回】119.2 【勝敗S】5-9-0 【防御率】5.42 【WAR】-0.7
パワー型の即戦力と称されていた木澤は、中継ぎに転向した2年目以降は一軍に定着。3年連続で50試合以上に登板したが、WARは22年の0.8がキャリアハイと決して際立った数字ではない。大学4年間のリーグ戦22戦無敗を誇り、即戦力として期待された山野は、1年目の登板は1試合のみ。故障による育成降格を経て23年に支配下復帰。同年にプロ初勝利を挙げ、24年以降は先発ローテーションを争うも通算防御率5.42、WARは2年連続でマイナスと苦しんでいる。
▼2021
1位:山下輝(法政大)
【試合】2 【投球回】12.1 【勝敗S】1-1-0 【防御率】1.46 【WAR】0.1
大学時代は1年時にトミー・ジョン手術を経験しながらも大型左腕として評価を集め、隅田知一郎(現西武)の外れ1位として入団。だが、指名直後の左腕疲労骨折も含めてとにかく故障が多く、これまで一軍登板は1年目の2試合しかない(この年は日本シリーズでも先発マウンドを経験している)。昨季はファームでも防御率5.89と打ち込まれ、今季もここまで3.81といまひとつの状態が続いている。
▼2022
1位:吉村貢司郎(東芝)/写真
【試合】45 【投球回】254.2 【勝敗S】17-13-0 【防御率】3.43 【WAR】2.9
大卒社会人で解禁翌年に指名されたオールドルーキーは、1年目から12試合に登板し、WAR0.5を稼いだ。24年は138.1回を投げて9勝、投手ではチームトップのWAR2.2を記録した。これは今回集計した中で18年の原(3.2)、21年の奥川(2.5)に次いで単年では3番目の数字。また3年目の途中ながら、すでに通算WARは原に次ぐ2位と、ここ10年の上位指名投手では最も活躍した部類に入る。 ▼2023
1位:西舘昂汰(専修大)
【試合】- 【投球回】- 【勝敗S】- 【防御率】- 【WAR】-
2位:松本健吾(トヨタ自動車)
【試合】4 【投球回】16 【勝敗S】1-1 【防御率】3.94 【WAR】0.3
「東都7人衆」の一角として期待された西舘だが、一軍で登板することなく昨年9月にトミー・ジョン手術を受け、現在はリハビリ中。松本はNPB史上初の初登板で2ケタ奪三振&無四球完封を達成したが、以降は白星なし。今季は中継ぎで1試合(1.2回)に登板したのみにとどまっている。まだ入団2年目ながら、ドラフト時は即戦力として期待されていた2人だけに、合計で16イニング、WAR0.3は寂しい数字と言わざるを得ない。
▼2024
1位:中村優斗(愛知工業大)
【試合】1 【投球回】5 【勝敗S】0-1 【防御率】1.80 【WAR】0.1
大学時代に飛び級で侍ジャパンのフル代表にも選出されたエース候補は、春季キャンプ前にコンディション不良となり、二軍で調整。4月8日の二軍デビューから徐々に球数を増やし、6月22日のオリックス戦で満を持して一軍デビューを果たした。初登板は制球に苦しむも5回1失点、最速153キロと大器の片鱗を発揮。今後の活躍に期待が集まる。
過去10年で指名したドラフト1~2位の14投手の中で、規定投球回に到達した投手は皆無。アマチュア時代は先発だった投手が救援に転向するパターンも多く、ローテーションを支える投手がなかなか育たない状況が続いている。その結果、慢性的な先発不足に陥り、毎年のようにドラフト上位で即戦力の大卒や社会人投手を指名せざるを得なくなっている。
過去10年の野手1位指名は、17年の村上宗隆のみ。上位指名に投手が集中することで、必然的に野手の育成にも悪影響を及ぼしている。上位で指名した投手が育たず、下位指名中心となる野手も伸び悩み──その悪循環を断ち切るためにも、先発ローテーション投手の一刻も早い育成が求められる。
文●勝田聡
【著者プロフィール】
かつた・さとし。40代東京在住。NPBはヤクルトを中心にMLBは推しを作らず、全体的に観戦中。個人で起業し、野球関連の映像クリップ、動画編集、ライティング、選手名鑑執筆など幅広く取り扱っている。
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【記事】上位指名投手を先発として育成できず、結果的に野手陣も先細り...ヤクルトの記録的低迷を招いた「ドラフトの失敗」【前編】
記録的低迷の大きな要因として挙げられるのが、ドラフト上位指名の投手を先発として戦力化できていないことだ。そこで、過去10年のドラフト1位、2位で指名した投手の成績を振り返ってみた。総合的な勝利貢献度を示すWARも含めて検証すると、投手育成失敗の系譜が改めて浮かび上がってくる――。
※成績は6月23日終了時点。データ提供:DELTA
【前編から続く】
▼2020
1位:木澤尚文(慶応大)
【試合】184 【投球回】192.1 【勝敗S】16-10-5 【防御率】3.04 【WAR】1.2
2位:山野太一(東北福祉大)
【試合】28 【投球回】119.2 【勝敗S】5-9-0 【防御率】5.42 【WAR】-0.7
パワー型の即戦力と称されていた木澤は、中継ぎに転向した2年目以降は一軍に定着。3年連続で50試合以上に登板したが、WARは22年の0.8がキャリアハイと決して際立った数字ではない。大学4年間のリーグ戦22戦無敗を誇り、即戦力として期待された山野は、1年目の登板は1試合のみ。故障による育成降格を経て23年に支配下復帰。同年にプロ初勝利を挙げ、24年以降は先発ローテーションを争うも通算防御率5.42、WARは2年連続でマイナスと苦しんでいる。
▼2021
1位:山下輝(法政大)
【試合】2 【投球回】12.1 【勝敗S】1-1-0 【防御率】1.46 【WAR】0.1
大学時代は1年時にトミー・ジョン手術を経験しながらも大型左腕として評価を集め、隅田知一郎(現西武)の外れ1位として入団。だが、指名直後の左腕疲労骨折も含めてとにかく故障が多く、これまで一軍登板は1年目の2試合しかない(この年は日本シリーズでも先発マウンドを経験している)。昨季はファームでも防御率5.89と打ち込まれ、今季もここまで3.81といまひとつの状態が続いている。
▼2022
1位:吉村貢司郎(東芝)/写真
【試合】45 【投球回】254.2 【勝敗S】17-13-0 【防御率】3.43 【WAR】2.9
大卒社会人で解禁翌年に指名されたオールドルーキーは、1年目から12試合に登板し、WAR0.5を稼いだ。24年は138.1回を投げて9勝、投手ではチームトップのWAR2.2を記録した。これは今回集計した中で18年の原(3.2)、21年の奥川(2.5)に次いで単年では3番目の数字。また3年目の途中ながら、すでに通算WARは原に次ぐ2位と、ここ10年の上位指名投手では最も活躍した部類に入る。 ▼2023
1位:西舘昂汰(専修大)
【試合】- 【投球回】- 【勝敗S】- 【防御率】- 【WAR】-
2位:松本健吾(トヨタ自動車)
【試合】4 【投球回】16 【勝敗S】1-1 【防御率】3.94 【WAR】0.3
「東都7人衆」の一角として期待された西舘だが、一軍で登板することなく昨年9月にトミー・ジョン手術を受け、現在はリハビリ中。松本はNPB史上初の初登板で2ケタ奪三振&無四球完封を達成したが、以降は白星なし。今季は中継ぎで1試合(1.2回)に登板したのみにとどまっている。まだ入団2年目ながら、ドラフト時は即戦力として期待されていた2人だけに、合計で16イニング、WAR0.3は寂しい数字と言わざるを得ない。
▼2024
1位:中村優斗(愛知工業大)
【試合】1 【投球回】5 【勝敗S】0-1 【防御率】1.80 【WAR】0.1
大学時代に飛び級で侍ジャパンのフル代表にも選出されたエース候補は、春季キャンプ前にコンディション不良となり、二軍で調整。4月8日の二軍デビューから徐々に球数を増やし、6月22日のオリックス戦で満を持して一軍デビューを果たした。初登板は制球に苦しむも5回1失点、最速153キロと大器の片鱗を発揮。今後の活躍に期待が集まる。
過去10年で指名したドラフト1~2位の14投手の中で、規定投球回に到達した投手は皆無。アマチュア時代は先発だった投手が救援に転向するパターンも多く、ローテーションを支える投手がなかなか育たない状況が続いている。その結果、慢性的な先発不足に陥り、毎年のようにドラフト上位で即戦力の大卒や社会人投手を指名せざるを得なくなっている。
過去10年の野手1位指名は、17年の村上宗隆のみ。上位指名に投手が集中することで、必然的に野手の育成にも悪影響を及ぼしている。上位で指名した投手が育たず、下位指名中心となる野手も伸び悩み──その悪循環を断ち切るためにも、先発ローテーション投手の一刻も早い育成が求められる。
文●勝田聡
【著者プロフィール】
かつた・さとし。40代東京在住。NPBはヤクルトを中心にMLBは推しを作らず、全体的に観戦中。個人で起業し、野球関連の映像クリップ、動画編集、ライティング、選手名鑑執筆など幅広く取り扱っている。
【記事】西武から電撃トレードで加入! 選球眼とパンチ力を兼備する佐藤龍世は得点力不足に苦しむドラゴンズ打線の救世主になる?<SLUGGER>
【記事】「まじで可愛いぞ!」役満ボディ女子が始球式の舞台裏で魅せた“謎のオフショット”が話題!「マサカリ投法」「全球団でしてほしい」
【記事】「全然33歳にみえん!」ノーバンならずも…ハマスタ始球式に登場した“大物グラドル”がネット席巻!「やっぱ可愛いって」「癒されたわ」