クレイトン・カーショウ(ドジャース)が現地7月2日のホワイトソックス戦で、通算3000奪三振の金字塔を打ち立てた。これまでも数々のマイルストーンを積み上げてきた左腕は6イニングを投げ切り、この日最後の打者から奪った3つめの三振で、新たに歴史に名を刻んだ。
【動画】あれ、目から汗が...ドジャース公式が公開した特別動画「カーショウ3000奪三振への道」
通算3000奪三振到達は史上20人目だが、左腕では他にランディ・ジョンソン、スティーブ・カールトン、CC・サバシアと3人の殿堂入り投手しかいない。同一チームでの達成は他にウォルター・ジョンソンとボブ・ギブソンだけ。両方の条件を満たした投手としては、カーショウが史上初の達成者になった。
偉大な記録を樹立しながら、試合後のカーショウは「時間がかかり過ぎた」と語った。その口調には、若くから「将来の殿堂入り間違いなし」と言われるまでのキャリアを築いた矜持が透けて見える。
2008年に20歳でメジャーデビューを果たしたカーショウは、11年に23年初めてサイ・ヤング賞を獲得し、以後4年間で同賞に計3度選出された。通算2000奪三振達成は20代のうちに早々とクリアしていている。だが、30代に入ってからは故障が増え、全盛期ほどの力を発揮できないシーズンが続いた。
球速が衰え始めると、代名詞の大きく曲がるカーブではなく、細かい制球ができるスライダーを多投するようにもなった。通算3000個目の奪三振も右打者のヴィニー・キャプラの外角低めへしっかり決めて、見逃しで記録した。球種別でも、スライダーで奪った三振が最も多い(1314奪三振)。 投球はモデルチェンジしても、野球に取り組む姿勢と一貫性は変わらない。毎日同じ時間に球場入りし、同じルーティンを重ね、同じトレーニングメニューをこなすことで知られている。現役時代、同じナショナル・リーグ西地区で何度もしのぎを削ったジャイアンツのバスター・ポージー編成総責任者が「アップの様子を見ながらルーティンや表情に違いはないか探したが、見抜けなかった」と証言するほどだ。
この日のカーショウは3回までに4点を失う厳しい内容だったが、粘りの投球を続け、チームは9回にフレディ・フリーマンの一打で逆転サヨナラ勝ちを収めた。
試合後、ロッカールームでチームメイトに囲まれたカーショウは「個人の記録は祝える仲間がいないと意味がない。成し遂げたことを皆が喜んでくれることが嬉しい」と語りかけた。苦労を伴いながら積み上げた大記録だけに「この部屋にいるみんながベースボールの難しさを理解しているから」と話す姿には実感がこもっていた。
実は、通算3000奪三振達成者は、300勝到達者(24人)よりも少ない。カーショウは投手として得られるものはほとんど手にし、現役引退後の殿堂入りも確定している。次に目指すのは、自身3度目のワールドチャンピオンだろう。故障者続出の投手陣で、5月半ばから戦列に復帰した左腕は前回の登板まで4連勝中とチームに勝ちを運んでいる。再びチームメイトと勝利の美酒に酔える瞬間へたどり着くため、左腕を振り続けるはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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通算3000奪三振到達は史上20人目だが、左腕では他にランディ・ジョンソン、スティーブ・カールトン、CC・サバシアと3人の殿堂入り投手しかいない。同一チームでの達成は他にウォルター・ジョンソンとボブ・ギブソンだけ。両方の条件を満たした投手としては、カーショウが史上初の達成者になった。
偉大な記録を樹立しながら、試合後のカーショウは「時間がかかり過ぎた」と語った。その口調には、若くから「将来の殿堂入り間違いなし」と言われるまでのキャリアを築いた矜持が透けて見える。
2008年に20歳でメジャーデビューを果たしたカーショウは、11年に23年初めてサイ・ヤング賞を獲得し、以後4年間で同賞に計3度選出された。通算2000奪三振達成は20代のうちに早々とクリアしていている。だが、30代に入ってからは故障が増え、全盛期ほどの力を発揮できないシーズンが続いた。
球速が衰え始めると、代名詞の大きく曲がるカーブではなく、細かい制球ができるスライダーを多投するようにもなった。通算3000個目の奪三振も右打者のヴィニー・キャプラの外角低めへしっかり決めて、見逃しで記録した。球種別でも、スライダーで奪った三振が最も多い(1314奪三振)。 投球はモデルチェンジしても、野球に取り組む姿勢と一貫性は変わらない。毎日同じ時間に球場入りし、同じルーティンを重ね、同じトレーニングメニューをこなすことで知られている。現役時代、同じナショナル・リーグ西地区で何度もしのぎを削ったジャイアンツのバスター・ポージー編成総責任者が「アップの様子を見ながらルーティンや表情に違いはないか探したが、見抜けなかった」と証言するほどだ。
この日のカーショウは3回までに4点を失う厳しい内容だったが、粘りの投球を続け、チームは9回にフレディ・フリーマンの一打で逆転サヨナラ勝ちを収めた。
試合後、ロッカールームでチームメイトに囲まれたカーショウは「個人の記録は祝える仲間がいないと意味がない。成し遂げたことを皆が喜んでくれることが嬉しい」と語りかけた。苦労を伴いながら積み上げた大記録だけに「この部屋にいるみんながベースボールの難しさを理解しているから」と話す姿には実感がこもっていた。
実は、通算3000奪三振達成者は、300勝到達者(24人)よりも少ない。カーショウは投手として得られるものはほとんど手にし、現役引退後の殿堂入りも確定している。次に目指すのは、自身3度目のワールドチャンピオンだろう。故障者続出の投手陣で、5月半ばから戦列に復帰した左腕は前回の登板まで4連勝中とチームに勝ちを運んでいる。再びチームメイトと勝利の美酒に酔える瞬間へたどり着くため、左腕を振り続けるはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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