現地7月6日、2025年MLBオールスター・ゲームのロースターが発表された。すでにリーグ最多得票で出場が決まっていた大谷翔平(ドジャース)に加え、山本由伸(ドジャース)や菊池雄星(エンジェルス)が選出された一方、打点でナショナル・リーグトップを走る鈴木誠也(カブス)は"選外"になってしまった。
これには日本だけでなく、現地アメリカでも「なぜ彼が選ばれなかったのか?」と議論が沸騰している。ただ、冷静に考えると、鈴木の選出漏れにはやむを得ない面もある。
まず大前提となるのが、MLBのオールスターに選ばれるのはかなりの狭き門であるということだ。日本と比較しても、各リーグ6球団ずつのNPBに対してMLBは各15球団。単純計算で、選ばれるのは2.5倍大変ということになる。また、各球団最低1人は選出するという縛りもあるため、その兼ね合いで選から漏れてしまうこともある。
実際、鈴木以外にも好成績を残しているのに選ばれなかった選手が何人もいる。
ナ・リーグでは最多安打を放っているトレイ・ターナー(フィリーズ)やドジャースでブレイク中のアンディ・パヘス、アメリカン・リーグでは3位の21本塁打を放っている22歳の若き大砲ジュニオール・カミネロ(レイズ)も選外となった。
もう1つ見逃せないのは、今年のナ・リーグ外野手部門が「超激戦区」であるという事実だ。
ここで改めて選ばれた選手の顔ぶれを見てみよう。
●ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)
23年に史上初の40本塁打&70盗塁を達成してMVPを受賞。昨年5月に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負ったが、今年5月に復帰してから40試合で打率.331、9本塁打、OPS1.011と打ちまくり、外野手最多得票で選出された。
●ピート・クロウ=アームストロング(カブス)
もともと守備・走塁の評価は高く、メジャー3年目の今季は打撃でも大ブレイク。歴代4番目のスピード記録で20-20に到達するなど、球団史上初&史上7人目の40-40に向けて驀進し、MVP候補にも挙げられている。
●カイル・タッカー(カブス)
MLB屈指のオールラウンド・プレーヤーで、アストロズからカブスに移った今季も攻守で活躍。17本塁打、OPS.902の強打に加え、22盗塁を決めて失敗わずか1と走塁面での貢献度も非常に高い。
●ジェームズ・ウッド(ナショナルズ)
201cmの長身から大谷並みの打球速度で長打をかっ飛ばす22歳の怪物。23本塁打はリーグ5位、6月末にはバリー・ボンズ以来の1試合4敬遠も記録し、ホームラン・ダービー出場も決まっている。
●コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス)
スピードは球界全体でもトップクラスの23年新人王で、今季は前半戦だけで20本塁打をクリアするなどパワーも急成長。6月18日に左手首を骨折したが、たった3週間で復帰したガッツマンでもある。
●フェルナンド・タティースJr.(パドレス)
走攻守に規格外の身体能力を発揮するパドレスの中核で、今季はリーグ7位の19盗塁をマークするなど初の30-30達成が有力。23年にゴールドグラブを受賞した好守でもチームに貢献している。
実はこの6人は、全員が総合指標WAR(Baseball reference版)で鈴木(1.9)を上回っている。鈴木の活躍ぶりがオールスターにふさわしいものだったというのは間違いないが、選ばれた6人もまた素晴らしい前半戦を過ごしていた。鈴木の出塁率が低い(.319)こと、打点が周囲の環境に左右されやすいスタッツであることも、ハイレベルの選手たちとの比較の中では"マイナス"となったのかもしれない。
DH部門でも、不動のスーパースター大谷に加え、選手間投票では27本塁打&OPS.924のカイル・シュワーバー(フィリーズ)が立ちはだかった。シュワーバーもまた、bWARは2.7(23位)と鈴木を上回っている。
出場枠に限りがある以上、惜しくも選から漏れる選手はどうしても出てきてしまう。今年はたまたま鈴木がそうなってしまったということだ。
ただ、まだ望みを捨てる必要はない。毎年、オールスターでは故障などで決まって数人の辞退者が出る。もしナ・リーグのメンバーで誰か辞退する選手が出るとしたら、鈴木は"繰り上げ当選"の最有力候補の一人となることは間違いないだろう。
構成●SLUGGER編集部
【動画】球宴落選でも関係なし! 25号ソロ弾で「鈴木誠也ここにあり」を改めて示す
【記事】「クレイトンの3000への旅」カーショウの大偉業、ドジャース公式が記念ムービーで祝福「涙が止まらない」「泣かせたいのか」ファン感動
【記事】「最高の瞬間だ」カーショウが達成した3000奪三振の"偉大さ"を現地記者が説明。「左腕として史上4人目、単一チームで達成した3人目だ」
これには日本だけでなく、現地アメリカでも「なぜ彼が選ばれなかったのか?」と議論が沸騰している。ただ、冷静に考えると、鈴木の選出漏れにはやむを得ない面もある。
まず大前提となるのが、MLBのオールスターに選ばれるのはかなりの狭き門であるということだ。日本と比較しても、各リーグ6球団ずつのNPBに対してMLBは各15球団。単純計算で、選ばれるのは2.5倍大変ということになる。また、各球団最低1人は選出するという縛りもあるため、その兼ね合いで選から漏れてしまうこともある。
実際、鈴木以外にも好成績を残しているのに選ばれなかった選手が何人もいる。
ナ・リーグでは最多安打を放っているトレイ・ターナー(フィリーズ)やドジャースでブレイク中のアンディ・パヘス、アメリカン・リーグでは3位の21本塁打を放っている22歳の若き大砲ジュニオール・カミネロ(レイズ)も選外となった。
もう1つ見逃せないのは、今年のナ・リーグ外野手部門が「超激戦区」であるという事実だ。
ここで改めて選ばれた選手の顔ぶれを見てみよう。
●ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)
23年に史上初の40本塁打&70盗塁を達成してMVPを受賞。昨年5月に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負ったが、今年5月に復帰してから40試合で打率.331、9本塁打、OPS1.011と打ちまくり、外野手最多得票で選出された。
●ピート・クロウ=アームストロング(カブス)
もともと守備・走塁の評価は高く、メジャー3年目の今季は打撃でも大ブレイク。歴代4番目のスピード記録で20-20に到達するなど、球団史上初&史上7人目の40-40に向けて驀進し、MVP候補にも挙げられている。
●カイル・タッカー(カブス)
MLB屈指のオールラウンド・プレーヤーで、アストロズからカブスに移った今季も攻守で活躍。17本塁打、OPS.902の強打に加え、22盗塁を決めて失敗わずか1と走塁面での貢献度も非常に高い。
●ジェームズ・ウッド(ナショナルズ)
201cmの長身から大谷並みの打球速度で長打をかっ飛ばす22歳の怪物。23本塁打はリーグ5位、6月末にはバリー・ボンズ以来の1試合4敬遠も記録し、ホームラン・ダービー出場も決まっている。
●コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス)
スピードは球界全体でもトップクラスの23年新人王で、今季は前半戦だけで20本塁打をクリアするなどパワーも急成長。6月18日に左手首を骨折したが、たった3週間で復帰したガッツマンでもある。
●フェルナンド・タティースJr.(パドレス)
走攻守に規格外の身体能力を発揮するパドレスの中核で、今季はリーグ7位の19盗塁をマークするなど初の30-30達成が有力。23年にゴールドグラブを受賞した好守でもチームに貢献している。
実はこの6人は、全員が総合指標WAR(Baseball reference版)で鈴木(1.9)を上回っている。鈴木の活躍ぶりがオールスターにふさわしいものだったというのは間違いないが、選ばれた6人もまた素晴らしい前半戦を過ごしていた。鈴木の出塁率が低い(.319)こと、打点が周囲の環境に左右されやすいスタッツであることも、ハイレベルの選手たちとの比較の中では"マイナス"となったのかもしれない。
DH部門でも、不動のスーパースター大谷に加え、選手間投票では27本塁打&OPS.924のカイル・シュワーバー(フィリーズ)が立ちはだかった。シュワーバーもまた、bWARは2.7(23位)と鈴木を上回っている。
出場枠に限りがある以上、惜しくも選から漏れる選手はどうしても出てきてしまう。今年はたまたま鈴木がそうなってしまったということだ。
ただ、まだ望みを捨てる必要はない。毎年、オールスターでは故障などで決まって数人の辞退者が出る。もしナ・リーグのメンバーで誰か辞退する選手が出るとしたら、鈴木は"繰り上げ当選"の最有力候補の一人となることは間違いないだろう。
構成●SLUGGER編集部
【動画】球宴落選でも関係なし! 25号ソロ弾で「鈴木誠也ここにあり」を改めて示す
【記事】「クレイトンの3000への旅」カーショウの大偉業、ドジャース公式が記念ムービーで祝福「涙が止まらない」「泣かせたいのか」ファン感動
【記事】「最高の瞬間だ」カーショウが達成した3000奪三振の"偉大さ"を現地記者が説明。「左腕として史上4人目、単一チームで達成した3人目だ」