チームの中心だった筒香嘉智がレイズに移籍。ぽっかり空いた外野の一角を誰が掴むのか。今季のDeNAにとって最重要課題だ。
坪井智哉打撃コーチは、その有力候補として20代の若手とともに梶谷隆幸の名を挙げる。
「いっぱいいるからね。筆頭なのは監督もいっているように佐野恵太なんやろけど、乙坂(智)もいいし細川(成也)もいいし、(1軍に)上がってきた関根(大気)もいいし、ファームには桑原(将志)もいる。熾烈ですよね、本当にね。梶(谷)も中堅として脂が乗り切っている時期なので虎視眈眈とポジションを狙ってると思います」
梶谷は2012年に当時の中畑監督が機動力野球を掲げる方針だったこともあり、開幕スタメンに抜擢された。2014年からは4年連続で20盗塁をマーク、OPSも.800前後とクリーンアップを打てるだけの数値を残し、新生・DeNAを象徴する選手の1人となった。
ここ2年は怪我に泣かされ不本意な成績となっているが、万全な状態ならば20発、20盗塁は十分に残せる。加えて第2クールに行われたゲームノックでは高い走塁センスも披露した。1死1、3塁からのライトフライで1塁走者だった梶谷はタッチアップの姿勢からリードオフし、送球がセカンドではカットできない高さだと判断すると2塁へ進塁。ファーストがカットしたがどこにも投げられず好走塁で得点圏に進んだ。
今年で32歳になるが、20代前半と比べて「酒が次の日まで残るとか疲れが抜けにくいのははありますけど、それぐらいですかね。スピードの変化は全然感じない」と脚力はまだまだ健在だ。
能力的にも経験値の面でも実績はあるが、現在はポジションが約束されているわけではなくレギュラーを狙う立場だ。
それだけに梶谷のポジション奪取への想いは強い。
「自分のことに必死なんで、周りのことをどうこういってる立場じゃない。マジで必死です。まずは自分の準備をして練習に臨んで、その中で根本から見つめ直さないと変わらないんじゃないかなと思う。挑戦してやっていきたいです」
また、今年の宜野湾市や球団のバックアップは例年以上に高い。球場のセンター後方には約18億円の事業費をかけて新設された室内練習場が完成し、ブルペンにはリリースの瞬間を撮影できる高性能カメラが設置され投手陣をサポート。野手陣もグリップエンドに装着したセンサーでバットの軌道を数値化するブラストモーションにより、感覚だけでなく、目で状態を確認出来るようになった。
「こういう施設もですけど、いろんな方が来てくれてありがたいですし、吸収出来るものは全部インプットしてそれをアウトプットしていけたらなと思います」
そう簡単には埋まらない筒香の穴だが、走攻守全てで貢献できる梶谷がスタメンとなれば、期待の若手が代打待機に回るほどベンチの層も厚くなる。まだまだ老け込むような年齢ではない。20代の競争に待ったをかける。
取材・文●小中翔太
【著者プロフィール】
こなか・しょうた/1988年1月19日生まれ。京都府宮津市出身。大学野球連盟で学生委員を務め裏方の道へ。関西を中心に活動しウェブ媒体や雑誌に寄稿する。
坪井智哉打撃コーチは、その有力候補として20代の若手とともに梶谷隆幸の名を挙げる。
「いっぱいいるからね。筆頭なのは監督もいっているように佐野恵太なんやろけど、乙坂(智)もいいし細川(成也)もいいし、(1軍に)上がってきた関根(大気)もいいし、ファームには桑原(将志)もいる。熾烈ですよね、本当にね。梶(谷)も中堅として脂が乗り切っている時期なので虎視眈眈とポジションを狙ってると思います」
梶谷は2012年に当時の中畑監督が機動力野球を掲げる方針だったこともあり、開幕スタメンに抜擢された。2014年からは4年連続で20盗塁をマーク、OPSも.800前後とクリーンアップを打てるだけの数値を残し、新生・DeNAを象徴する選手の1人となった。
ここ2年は怪我に泣かされ不本意な成績となっているが、万全な状態ならば20発、20盗塁は十分に残せる。加えて第2クールに行われたゲームノックでは高い走塁センスも披露した。1死1、3塁からのライトフライで1塁走者だった梶谷はタッチアップの姿勢からリードオフし、送球がセカンドではカットできない高さだと判断すると2塁へ進塁。ファーストがカットしたがどこにも投げられず好走塁で得点圏に進んだ。
今年で32歳になるが、20代前半と比べて「酒が次の日まで残るとか疲れが抜けにくいのははありますけど、それぐらいですかね。スピードの変化は全然感じない」と脚力はまだまだ健在だ。
能力的にも経験値の面でも実績はあるが、現在はポジションが約束されているわけではなくレギュラーを狙う立場だ。
それだけに梶谷のポジション奪取への想いは強い。
「自分のことに必死なんで、周りのことをどうこういってる立場じゃない。マジで必死です。まずは自分の準備をして練習に臨んで、その中で根本から見つめ直さないと変わらないんじゃないかなと思う。挑戦してやっていきたいです」
また、今年の宜野湾市や球団のバックアップは例年以上に高い。球場のセンター後方には約18億円の事業費をかけて新設された室内練習場が完成し、ブルペンにはリリースの瞬間を撮影できる高性能カメラが設置され投手陣をサポート。野手陣もグリップエンドに装着したセンサーでバットの軌道を数値化するブラストモーションにより、感覚だけでなく、目で状態を確認出来るようになった。
「こういう施設もですけど、いろんな方が来てくれてありがたいですし、吸収出来るものは全部インプットしてそれをアウトプットしていけたらなと思います」
そう簡単には埋まらない筒香の穴だが、走攻守全てで貢献できる梶谷がスタメンとなれば、期待の若手が代打待機に回るほどベンチの層も厚くなる。まだまだ老け込むような年齢ではない。20代の競争に待ったをかける。
取材・文●小中翔太
【著者プロフィール】
こなか・しょうた/1988年1月19日生まれ。京都府宮津市出身。大学野球連盟で学生委員を務め裏方の道へ。関西を中心に活動しウェブ媒体や雑誌に寄稿する。