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MLB

“球春”間近のMLBで、いまだ市場に売れ残るFA選手。“掘り出し物”になる可能性があるのは?

宇根夏樹

2020.02.09

主なFA選手の所属先がほとんど決まった中で、いまだに所属先が決まらないプイーグ。来季はどこでプレーするのだろうか?(C)Getty Images

主なFA選手の所属先がほとんど決まった中で、いまだに所属先が決まらないプイーグ。来季はどこでプレーするのだろうか?(C)Getty Images

 日本プロ野球に続き、メジャーも“球春”が近づいてきた。2月12日にスプリング・トレーニングが始まり、21日からはエキシビション・ゲーム(オープン戦)が行われる。ストーブリーグのうち、トレードの噂はまだ蠢いているものの、主なFAのほとんどは新たな契約を手にした。その中で取り残された感があるのが、外野手のヤシエル・プイーグだ。

 過去3年とも、プイーグは20本塁打&15盗塁以上を記録している。年齢もまだ20代。昨年12月に29歳を迎えた。にもかかわらず、球団が決まらないのは、時に批判されることもある“ワイルド・ホース(野生馬)”ぶりも理由の一つだろうが、メジャーデビュー当時と比べて貢献度が下がっているためだと思われる。総合指標のbWARは、2013~14年の2年連続4.5以上に対し、17年以降は3.8→2.7→1.4と下降中だ。『ベースボール・リファレンス』はレギュラーの水準bWARを2.0としている。

 同じく外野手のハンター・ペンスもなかなか所属先が決まらなかったが、2月7日にジャイアンツと契約を結んだ。とはいえペンスは昨季、36歳にしてV字回復を遂げている。17~18年は故障もあり、2年続けてOPSの自己ワーストを更新(.701と.590)。一時は引退も囁かれていたが、19年は前年比400ポイント上昇の.910を記録した。腰を痛めて8月下旬にシーズンを終えたとはいえ、マイナー契約からスタートし、5年ぶり4度目のオールスター・ゲームに選ばれた。
 
 ペンスは12~18年にもジャイアンツでプレーし、12年と14年のワールドシリーズ優勝に貢献した。再建を始めたジャイアンツは、次代を担う若手が台頭するまでのつなぎとして、安価なベテランを求めていた。そこで、1月31日にマイナー契約でパブロ・サンドバルを呼び戻したのに続いて、ペンスを再び迎え入れたというわけだ。

 他には、内外野を守るスーパー・ユーティリティのブロック・ホルトがFAのままだ。31歳のホルトは、2年続けて出塁率.360以上。これは、オールスター・ゲームに選出された15年の.349を上回る。なお、スーパー・ユーティリティのパイオニア、ベン・ゾブリストは38歳。引退するかどうか、迷っているらしい。19年は離婚訴訟を起こし、子供と過ごすために長期離脱した。

 先発投手では、27歳のタイワン・ウォーカーとアーロン・サンチェスが、ノンテンダーとされてFAになり、現在も市場に残っている。ともに10年のドラフト1巡目補完。ウォーカーは17年に防御率3.49、サンチェスは16年にア・リーグ1位の防御率3.00を記録した。年齢と資質からすると、健康を取り戻せば、今シーズンの“掘り出し物”になる可能性もありそうだ。

文●宇根夏樹

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【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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