2019年に阪神で快投を披露した“PJ”ことピアース・ジョンソン(ブレーブス)。日本でプレーしたのがたった1年だったとは信じられないほど、今も多くのファンから愛されている。
メジャー復帰6年目を迎えた今季のPJは例年以上に冴えている。ここまで40試合に登板して防御率2.63。特に目を惹くのはコントロールが安定していることだ。BB%(対戦打席数に対する四球の割合)という指標を見ると、これまで常に10%を超えていたのが今季は6.8%と劇的に改善。一体、何が変わったのだろう?
「メカニクスが安定してフォームの再現性が高くなかったからだと思う。あとは積極的にゾーンを攻めるようになった。ボール球を振らせようとするんじゃなくてね」
PJと言えば、代名詞はもちろんあのカーブ。その切れ味は投球アナリストとして人気を博すあのピッチング・ニンジャも認めるほどだが、今季はそれに勝るとも劣らないくらい4シームが威力を発揮している。投球割合は22.3%と決して高くはないものの、被打率は何と.120。まだ1本も長打を許していないのだからすごい。
スタットキャストのデータを詳しく見ると、4シームのアームサイド、つまり右方向への変化量が増していることに気付く。つまり、右打者の胸元に食い込むような軌道になっているのだ。
「これもメカニクスが良くなったからだ。繰り返し同じフォームで投げられるようになって、より本物のファストボールに近づいたんじゃないかと思う」
20年から3年間パドレスに在籍した後、ロッキーを経て23年7月にブレーブスへトレード移籍。その年のオフ、2年1450万ドルという好条件で延長契約を交わした。これまで数多くのチームを渡り歩いてきたPJだが、ブレーブスの居心地の良さは格別だという。
「コーチ、トレーニングスタッフ、フロントの人たち、全員が素晴らしい。素晴らしい人たちに囲まれていると、毎日球場に来るのが楽しくなるんだ」 だが、アトランタでの日々はもうすぐ終わりを迎えるかもしれない。7月31日のトレード・デッドラインを前に、PJには移籍の噂が浮上しているのだ。
「そうだね、何とも言えないな。トレードはゲームの一部だから。何が起こるかは分からないし、自分ではどうすることもできない。(23年オフに)僕がこのチームと再契約したのはアトランタが大好きだからだ。でも、これがビジネスだということは理解しているよ」
マーセル・オズーナやショーン・マーフィーといった他の選手とともにトレード候補としてメディアを賑わす中、家族と移籍の可能性について話をすることはあるのだろうか?
「ロジスティクス(注:この場合は引っ越しの準備などを指す)については話したりするよ。もし本当にトレードされたら、自分はアパートに仮住まいになったりするだろうからね。『いついつになったら会いに来れるね』とかさ」
「とにかく、今は一日一日、気持ちを切り替えながらやっていくしかない。トレードされたらされたで仕方がないし、もしこのチームに残るなら、自分が大好きな場所で投げられるということさ」
インタビューを終えて、フィールドへ飛び出していったPJ。十数分後、軽いトレーニングとアップを済ませて再び私たちの目の前を通り過ぎる時は涼しい顔で「ヒサシブリ」とジョークを飛ばしてきた。新天地に移るのか、それともアトランタに残るのか。7月31日、“運命の日”が間近に迫っている――。
構成●SLUGGER編集部
【動画】“ミスター・カーブボール”ジョンソンの見事なカーブ!
メジャー復帰6年目を迎えた今季のPJは例年以上に冴えている。ここまで40試合に登板して防御率2.63。特に目を惹くのはコントロールが安定していることだ。BB%(対戦打席数に対する四球の割合)という指標を見ると、これまで常に10%を超えていたのが今季は6.8%と劇的に改善。一体、何が変わったのだろう?
「メカニクスが安定してフォームの再現性が高くなかったからだと思う。あとは積極的にゾーンを攻めるようになった。ボール球を振らせようとするんじゃなくてね」
PJと言えば、代名詞はもちろんあのカーブ。その切れ味は投球アナリストとして人気を博すあのピッチング・ニンジャも認めるほどだが、今季はそれに勝るとも劣らないくらい4シームが威力を発揮している。投球割合は22.3%と決して高くはないものの、被打率は何と.120。まだ1本も長打を許していないのだからすごい。
スタットキャストのデータを詳しく見ると、4シームのアームサイド、つまり右方向への変化量が増していることに気付く。つまり、右打者の胸元に食い込むような軌道になっているのだ。
「これもメカニクスが良くなったからだ。繰り返し同じフォームで投げられるようになって、より本物のファストボールに近づいたんじゃないかと思う」
20年から3年間パドレスに在籍した後、ロッキーを経て23年7月にブレーブスへトレード移籍。その年のオフ、2年1450万ドルという好条件で延長契約を交わした。これまで数多くのチームを渡り歩いてきたPJだが、ブレーブスの居心地の良さは格別だという。
「コーチ、トレーニングスタッフ、フロントの人たち、全員が素晴らしい。素晴らしい人たちに囲まれていると、毎日球場に来るのが楽しくなるんだ」 だが、アトランタでの日々はもうすぐ終わりを迎えるかもしれない。7月31日のトレード・デッドラインを前に、PJには移籍の噂が浮上しているのだ。
「そうだね、何とも言えないな。トレードはゲームの一部だから。何が起こるかは分からないし、自分ではどうすることもできない。(23年オフに)僕がこのチームと再契約したのはアトランタが大好きだからだ。でも、これがビジネスだということは理解しているよ」
マーセル・オズーナやショーン・マーフィーといった他の選手とともにトレード候補としてメディアを賑わす中、家族と移籍の可能性について話をすることはあるのだろうか?
「ロジスティクス(注:この場合は引っ越しの準備などを指す)については話したりするよ。もし本当にトレードされたら、自分はアパートに仮住まいになったりするだろうからね。『いついつになったら会いに来れるね』とかさ」
「とにかく、今は一日一日、気持ちを切り替えながらやっていくしかない。トレードされたらされたで仕方がないし、もしこのチームに残るなら、自分が大好きな場所で投げられるということさ」
インタビューを終えて、フィールドへ飛び出していったPJ。十数分後、軽いトレーニングとアップを済ませて再び私たちの目の前を通り過ぎる時は涼しい顔で「ヒサシブリ」とジョークを飛ばしてきた。新天地に移るのか、それともアトランタに残るのか。7月31日、“運命の日”が間近に迫っている――。
構成●SLUGGER編集部
【動画】“ミスター・カーブボール”ジョンソンの見事なカーブ!
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