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プロ野球

鳥谷敬は”日替わり守備”で調整中。遊撃、三塁、二塁を守った本人の感触は?

岩国誠

2020.03.20

 そんな慣れないポジションにつく中、5回から登板した2番手・大嶺祐太が2つの四球でピンチを作ると、「ちょっと間を空けたいなという場面だったので」と、二塁からマウンドへ歩み寄り、捕手・柿沼とともに声をかけた。その自然な動きからは、合流してまだ10日も経っていないチームに、すでに溶け込んでいる様子がうかがえた。

 打撃では17日の初安打に続いて、19日にも右前安打を放ち、3試合で8打数2安打1四球。最初の2試合では、ボールを見極めている印象が強かったが、19日は追い込まれてからきわどいコースをカットするなど、打席の中でのアプローチが少し変化しているようだった。

「しっかり振っていこうという感じで、今日は(打席に)入っていました。(初回の)空振り三振もありましたけど、振りに行った中でボールを見ていくところまでは来たので、あとはそこでいろいろやっていくだけです」

 鳥谷は状態を上げていく作業を明確に認識しながら、1打席、いや1球たりとも無駄にするつもりはない。
 
 2軍戦とはいえ「伝統の一戦」として、しのぎを削ってきた巨人との3連戦を終え、20日からは楽天との3連戦を迎える。阪神に所属していた鳥谷にとって、イースタン・リーグのパ・リーグ球団とは、交流戦以外での接点はなく、初対戦の投手も多くなるだろう。予定ではこのカードから1試合4打席立つことになり、打席数も増えるがアプローチの仕方は変わってくるのか。

「(この3連戦でも)桜井投手以外とはほとんど対戦経験がない状態でした。ただ、今は相手どうこうより、来たボールに対して自分がどういう感覚なのか。(未対戦の投手は)本番になればデータとかもあるので、絞っていけると思っていますが、まだその段階まできていない。今は自分の状態を確認していく作業になると思います」

 練習で笑顔を見せることも多く、守備位置へはダッシュで向かう。新天地で17年目を迎えるベテランからは野球ができる喜びが垣間見えた。しかし、通算2085安打を放ってきた名手が現役続行を決断したのは、あくまで一軍の試合でプレーするためだ。納得できる姿を再びファンに見せるその日まで。鳥谷は自分と向き合いながら、ひたむきに調整を続けていく。

取材・文●岩国誠(フリーライター)

【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年生まれ。プロ野球のニュース番組制作に携わるTV映像ディレクター。一時は球団公式SNS用動画制作やパ・リーグTVでの制作・配信を担当。その縁からフリーライターとして、webメディアでのプロ野球記事の執筆を始める。また、舞台俳優としての経験を生かして、野球イベントなどの運営や進行役など、幅広い活動を行っている。

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