専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

【2010年代10大ニュース:5~10位】本塁打ラッシュ、イチロー引退、大谷翔平の活躍……ニュースで振り返る激動の10年

出野哲也

2020.04.03

6位:MLBが100億ドルビジネスに成長
 1876年に誕生したMLB(※当時はナショナル・リーグのみ)は世界最古にして最大級のプロスポーツ・リーグである。年間観客動員数はダントツ1位、総収入額もNFLに次いで2位。19年の収益は史上最高の107億ドルに達した。

 1995年頃までの総収入額はNPBと同程度だったが、この25年間で約7倍の開きが生じたのは放映権料の高騰が主因だった。録画再生視聴が当たり前の時代、ドラマなどではCMがスキップされ広告主にとっては旨みが少なくなった。ところがスポーツ番組はライブ中継視聴が好まれ、CMもリアルタイムで見てもらえる(少なくともスキップはできない)。年間162試合もあって露出量の多いMLBは最強のコンテンツなのだ。

 ネット時代への対応も成功した。00年に設立されたMLBアドバンスト・メディアは、MLB.tvの成功を皮切りに年々成長を続け、年間10億ドルを超える利益を生み出すようになった。

 その一方で観客動員は下落傾向にあり、スーパースター不在という問題も解決されていない。長らく平和だった労使関係にも対立の兆しが見え始めている。20年代もMLB繁栄の時代は続くのか。それは誰にも分からない。
 
5位:本塁打数が2度も最多記録更新
 2010年はロイ・ハラデイの完全試合など計6回のノーヒッターが記録され、「The Year of the Pitcher)(ピッチャーの年)」と呼ばれた。しかし、それから10年も経たないうちに再び「打高投低」時代が到来した。

 90年代後半から00年代前半にかけての〝ステロイド時代〞もホームランが盛んに飛び出した。だが、厳しい薬物検査が導入されたにもかかわらず、10年代後半は当時を凌駕する勢いで本塁打が乱れ飛んだ。

 15年は4000本台だったのが、16年に5610本を記録すると、翌17年は一気に6105本まで増え、それまでの記録を400本以上も更新。そして19年は6776本と2年前の記録をさらに大きく上回った。

 フライボール打法の浸透と、「多少打率は低くとも、長打を打つ方が効果的」とのセイバーメトリクス的発想により、多くの打者が長打を狙い始めたことも一因ではある。

 同時に、19年の急激な上昇を見る限り、飛ぶボールの存在を疑わざるを得ない。MLB機構は当初、「飛ぶボール」を否定していたが、ダルビッシュ有(カブス)が「左打席でも練習で柵越えするようになった」と言ったように、選手たちは納得していなかった。19年終盤になって、ようやくコミッショナーのロブ・マンフレッドがボールに原因があったことを示唆。使用球の「修正」にも前向きな姿勢を見せている。

文●出野哲也

※『スラッガー』2020年3月号より転載

【大谷翔平PHOTO】全米に衝撃を与えた二刀流の活躍、はじける笑顔、日本代表での秘蔵ショットも大公開!
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号