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MLB

【2010年代MLB新語辞典:後編】フレーミング、オープナー、ピッチトンネル……この10年で生まれた新たな概念を解説!

出野哲也

2020.04.11

レイズが18年に導入したオープナーの象徴的存在だったライン・スタネック(現マーリンズ)。この年はチーム2位の29試合に先発しながら、わずか66.1回しか投げなかった。(C)Getty Images

レイズが18年に導入したオープナーの象徴的存在だったライン・スタネック(現マーリンズ)。この年はチーム2位の29試合に先発しながら、わずか66.1回しか投げなかった。(C)Getty Images

▼オープナー【Opener】
 力のあるリリーフ投手を初回から登板させ、通常の先発投手は2回以降から投げさせる起用法。好打者が並ぶ上位打線と初回から当たるのを回避するのが目的。18年にこの戦術を本格的に採用したレイズは60回もオープナーを使用し、リーグ2位の防御率3.74を記録。その効果を実証し、以後多くのチームが追随した。ただし戦術的な意味合いだけではなく、レイズのように財政的に楽ではないために、高額年俸の先発投手を何人も揃えられない貧乏球団ならではの苦肉の策でもある。
 
 2番手以降にローテーション要員を起用せず、1試合まるごとブルペン要員で賄う場合もあって、こちらはブルペンデー、もしくはブルペンゲームと呼ばれる。

▼ドライブライン・ベースボール【Driveline Baseball】
 身体のメカニクスを独自に研究したカイル・ボディが12年にシアトル近郊に創設した最先端のトレーニング施設。通常より重い加重ボールを使用するなど実験的かつ斬新なトレーニング法が特徴で、最初のクライアントはトレバー・バウアー(現レッズ)だった。
 
 トラックマン、エッジャートロニック(高速カメラ)などの最新設備を揃えており、個人個人に合った適切なフォームを見つけることで、球速の向上やコマンドの改善などに絶大な効果があるとして急速に支持者を増やしている。同所のスタッフがMLB球団に職員として引き抜かれる例も現れていて、ほかならぬボディも19年10月からレッズに加わった。
 
▼ピッチトンネル【Pitch Tunnel】
 投球の際、打者から見て速球か変化球か見極められないポイントと、そこへ意図的に投げ込むテクニックを指す。 

 打者が最終的にスウィングの判断を下すのはホームプレートの手前7メートルとされ、この時点まで速球と変化球の軌道を同じよう投げられれば、痛打される確率は格段に低くなる。近年では変化の大きい球種より、速球と見分けのつきにくいボールの方が有効であるとの考えが広まり、多くの投手がピッチトンネルを想定した練習に取り組んでいる。何よりも安定した投球フォームが必要とされ、現役ではコリー・クルーバー(レンジャーズ)、ジェイコブ・デグロム(メッツ)、ジョン・レスター(カブス)などが優れたピッチトンネルの使い手と言われる。

文●出野哲也

※『スラッガー』2020年3月号より転載

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