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MLB

【2010年代シーズン別プレイバック:後編】カブス108年ぶり世界一、大谷が新人王受賞、そしてイチローが引退した2010年代後半を振り返る

城ノ井道人

2020.04.08

"ビリー・ゴートの呪い"を解き、16年に悲願の世界一を達成したカブス。実に108年ぶりのことだった。(C)Getty Images

 ジャイアンツ黄金時代の幕開けとともに始まった2010年代は、ナショナルズ史上初の世界一で幕を閉じた。幾多のスター選手がくれたいくつもの感動を、シーズン毎に振り返る。今回は2015年から19年までを振り返る。

▼2015年
【ワールドチャンピオン】
カンザスシティ・ロイヤルズ(30年ぶり2回目)

【主な出来事】
▶ロブ・マンフレッドが第10代コミッショナーに就任(1月)
▶史上初の無観客試合が開催(4月)
▶アレックス・ロドリゲス(ヤンキース)が通算3000本安打(6月)
▶ブライス・ハーパー(ナショナルズ)がMVPに
▶カンザスシティ・ロイヤルズが30年ぶりの世界一(11月)

 夏のトレード補強がチームの成否を大きく左右したシーズンだった。デビッド・プライス、トロイ・トゥロウィツキを獲得したブルージェイズは22年ぶりのプレーオフ進出を果たし、メッツは途中補強で加わったヨエニス・セスペデスのバットが火を噴いて19年ぶりのリーグ優勝。そしてロイヤルズは、エリック・ホズマーら生え抜き組の活躍に加えて、7月下旬に加入したジョニー・クエイト、ベン・ゾブリストらの貢献もあって1985年以来の世界一に輝いた。

「The Year of Rookies」と呼ばれるほどルーキーの活躍も目立った。新人王に輝いたクリス・ブライアント(カブス)とカルロス・コレア(アストロズ)以外にも、フランシスコ・リンドーア(インディアンス)やノア・シンダーガード(メッツ)など才能あふれる若手選手が続々と台頭した。

 新旧のスーパースターも魅せた。アレックス・ロドリゲス(ヤンキース)は5月にウィリー・メイズを抜いて歴代4位の通算661号本塁打を放ち、6月には3000安打にも到達。マイク・トラウト(エンジェルス)は前年に続いてオールスターMVPに選ばれた。ブライス・ハーパー(ナショナルズ)はリーグベストのOPS1.109を記録。史上最年少で満票を獲得してレギュラーシーズンMVPに輝いた。
 
▼2016年
【ワールドチャンピオン】
シカゴ・カブス(108年ぶり3回目)

【主な出来事】
▶前田健太がロサンゼルス・ドジャース入団(1月)
▶イチローが通算3000安打達成(8月)
▶ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)が事故死(9月)
▶シカゴ・カブスが108年ぶり世界一(11月)
▶アレックス・ロドリゲス(ヤンキース)、デビッド・オティーズ(レッドソックス)が引退

 2010年代に入り投高打低が続いていたが、この年は突如として総本塁打数が前年から701本も増加。当時は理由が分からなかったが、振り返ってみれば15年のスタットキャスト導入でフィールド上のあらゆる動きが数値として現れた結果、ビッグデータの活用による打撃の最適化が進んだ、いわゆる「フライボール革命」の胎動が起きたシーズンだったと言っていいだろう。

 夏のトレード市場では珍しくヤンキースが売り手に回り、そのヤンキースから戦力を獲得したカブスとインディアンスが頂上対決。カブスが激闘を制して108年ぶりの世界一に輝き、編成総責任者のセオ・エプスティーンはレッドソックスに続いて球界の二大呪いを解いた男として歴史に名を刻むこととなった。

 数多くのスターが去ったシーズンでもあった。8月にはアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)が引退を発表。開幕時から引退を公言していたデビッド・オティーズ(レッドソックス)は打点王に加えてOPSリーグ1位と堂々の成績を残してバットを置いた。その一方で、43歳のイチロー(マーリンズ)は8月にメジャー通算3000安打に到達した。9月には、イチローを尊敬してやまなかったマーリンズの若きエース、ホゼ・フェルナンデスがボート事故死する悲劇も起きた。
 

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