専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
大学野球

筑波大が誇るWエース!首都大学リーグの注目“ドラフト候補生“を紹介

大友良行

2020.04.21

●村木文哉(筑波大/投手)
184㎝・87㎏、右投左打、静岡県出身、静岡高
 MAX147㎞の右腕は、ストレートを軸に、スライダーと落差の大きなフォークとカーブ、ツーシームをコーナーに投げ分ける。

 2歳上の兄の影響で、小学校から野球をはじめた。中学2年から投手になり、甲子園へは1年夏にベンチ入りしたものの出番は無し。しかし4万人の大観衆に感動し、「野球の魅力に取り憑かれた」という。高2年春にも出場して初の甲子園マウンドに立ち、立命館宇治戦で完投し、7対1で勝利投手になった。忘れられない思い出だ。

 大学では、1年春から主にリリーフで登板した。秋季中盤から先発に回り、2年春からは先発一本。加藤と二人で投手陣を支える。

 通算成績は35試合で157回を投げ、17勝9敗。防御率2.41で昨春はベスト9に選ばれている。

 野球をやっていて大きな影響を受けた人がいる。元南海ホークスの大久保学投手(現・広島如水館高監督)だ。

 静岡高のOBでもある大久保に、村木は高1年時からたくさんのことを教わり成長してきた。ピッチングフォームを見て「プロに行けるぞ」と言われ、頑張れる環境を作ってくれたことに今でも感謝していると言う。

 村木の野球に取り組む姿を、川村監督は次のように語る。

「静岡高という名門で甲子園など、大きな大会にも出ているし、経験は豊富です。いろんなボールを使い別け、クレバーなピッチングをする。安心して見ていられます。決め球が落ちるボールなのですが、昨年はそれが決まらず持ち味を出せなかった。上でやるためには、その辺を磨いていかないと。今年は村木を筆頭に、投手陣が充実しています。あとは、4人目の投手を育て上げれば、優勝という先が見えてくるのですが」
 
 その村木がライバル視している選手は誰なのか。

「加藤と1年下の佐藤です。近くにいい選手がいるので、お互いに負けないようにと思ってやっています。課題は、真っ直ぐのスピードをもっと上げたい。そうしないと変化球が活きてこないので。巨人ファンなので菅野智之投手に憧れます。自分たちが入学してから一度も大学選手権に出たことがありません。まずリーグ優勝して、全国を目標に、最終的にはプロでやりたいです」

 筑波大を見続けてきている巨人の内田強スカウトは、「3月中旬にオープン戦は見ましたが、真っ直ぐがもう少し速ければと思いました。スライダーに自信を持っているし、カウントに関係無くフォークを投げることが出来るので、ゲームを作れます。ただフォークの落差がまだ小さい。あれで空振りが取れるようになればいいのですが。プロに入ったら、先発か中継ぎか、どこで使うかです。コントロールはいいですし、投げ方もいい。技術的には、問題ありません。いい投手だと思います」と語る。

 今は新型コロナウイルス感染防止のため、大学の施設は一切使用禁止で、全体練習もできない。そのため選手たちは、それぞれ自主的にトレーニングして待機中だ。

「仕方がないですね。前向きに捉えて、テレワークなどを使い、別の形で『野球』をしています。体育専門学群の准教授として指導者も育てなくてはならないし」と川村監督。
感染症の収束がどうなるかもまったく分からない状況だが、Wエースは、気持ちを切らさず、じっと耐えながらマウンドに立つ日を待ち望んでいる。

文●大友良行

【著者プロフィール】
おおとも・よしゆき/元大手新聞社の報道写真記者。事件事故取材の傍らメジャーリーグやサッカーW杯などの欧州サッカーを取材。現在は、全国の大学野球、春夏の甲子園をはじめとする高校野球、都市対抗を中心に社会人野球などを深く取材している。著書に「野球監督の仕事(共著・成美堂出版)」、「CMタイムの逆襲(東急エージェンシー)」などがある。

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号