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プロ野球

【野球人が紡ぐ言葉と思い】「選手は勝手に育つものだと思っています」――選手に自分で考えられる力をつけさせる田口壮コーチの“指導法”

氏原英明

2020.05.20

 アメリカでの‶サバイバル方法”を学んだ田口は、2Aで好成績を残し、9月に再びメジャー昇格。代打を中心に打率5割超の成績を残した。その後は年を追うごとに出場機会が増え、04~07年は毎年100試合以上に出場するなどバイプレーヤーとしてチームを支えた。その時の経験が今、コーチとしても生きている。

「基本的には、選手は勝手に育つものだと思っています。この人が育てた、ヒントを与えたということはあると思いますけど、選手が出てくるのはその人次第」

 田口の指導方針は、「選手が自分で考えられる力をつけること」だ。自分からああしろ、こうしろとはあまり言わない。その代わり、選手の話はきちんと聞く。16~18年に二軍監督を務めた時は監督室のドアを常に開けておき、選手がいつでも話に来られるようにしていた。田口は「いい意味での放任でいたい」と語るが、こうした手法が今の若い選手には合っているのかもしれない。事実、田口の二軍監督時代に山本由伸や吉田正尚が頭角を現している。
 
 オリックスは田口がいた96年を最後に実に23年も日本一から遠ざかり、昨季まで5年連続Bクラスと近年も低迷が続いている。それでも昨年、新人ながら交流戦首位打者に輝いた中川圭太や、攻守にポテンシャルを発揮した西浦颯大ら才能ある若手が徐々に出てきた。彼らが田口の指導によって花開けば、日本一も現実味を帯びてくるだろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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