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高校野球

【夏の甲子園中止から考える高校野球のこれから│前編】こういう時こそ自分を強くするいいチャンス。理想の球児像に縛られる必要はない

SLUGGER編集部

2020.05.31

――ここにきて、各都道府県で代替大会を開催するという動きが出ています。球児のために何かしてあげたいという気持ちがあるのだと思いますが、それが大掛かりなものになればなるほど、「なぜ甲子園を中止にしたのか」という空気にもなってきそうですが……。

西尾 そうですね。7月くらいから代替大会が行われるとして、「甲子園も開催できたのではないか」という論調は当然、出てくると思います。ただ、甲子園は全国で足並みをそろえる必要があるので、かえって早めに中止を決めないといけないという事情もあったと思います。日程をずらして開催してもいいんじゃないかという意見もありましたが、運営の中枢に近い人ほどこれまでのスタイルを守ろうとするので、そういうことはほとんど検討していないかもしれない。なので、「本当にさまざまな選択肢をすべて検討した上で中止を決めたのか?」という疑問は残りますよね。

――「高野連が代替大会の開催の有無や方式を各都道府県の連盟に丸投げするのは無責任だ」という声もあります。
 
西尾 確かに高野連の立ち位置がよく分からないというのはありますね。高野連は「我々は各都道府県の高野連に対して指示を出す立場にはない」と言いますが、その一方で昨年は新潟県の高野連が球数制限を導入しようとした時には、再考を求める声明を出している。その時は口出ししたのに今回は何も言わないのでは、いかにも中途半端という感じがしますよね。「中止が決まったからあとは何もしない」というのでは、まるで高野連が「今まで通りの形で甲子園大会を開催するための組織」みたいに見えてしまいます。

氏原 今の状態だと完全に丸投げなので。だったら西尾さんが言うように、「球数制限の時も丸投げしておいてくれよ!」って感じじゃないですか(笑)。甲子園が今の野球界に及ぼす影響力の大きさを考えれば、それくらいはしてもいいんじゃないかと、高校野球ライターとしては思いますね。
 
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