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プロ野球

【2010年代通信簿:ロッテ】「史上最大の下克上」を成し遂げたが、突出した個の不在でシーズン3位が最高

藤原彬

2020.06.03

 先発投手陣では成瀬善久や涌井秀章、石川歩らが主戦として奮闘し、涌井は15年に最多勝、石川は16年に最優秀防御率のタイトルを獲得したが、他球団のエースと比較すると支配力にも安定感にも欠けた。5人が20セーブ以上を経験しているように、クローザーは毎年のように入れ替わった。

 スター候補がいなかったわけではない。11年のドラフトでは、菅野智之(東海大/現巨人)、野村祐輔(明治大/現広島)とともに"大学ビッグ3"と称された藤岡貴裕(東洋大)を3球団競合で引き当て、16年は外れ1位ながら5球団が指名した佐々木千隼(桜美林大)獲得にも成功。だが、藤岡は1年目こそまずまずの成績を残したがその後は失速して18年途中にトレードで放出、佐々木千も3年間で6勝とまだ期待に応えられていない。

 それでも、近年は明るい兆しも見えている。ドラフトでは安田尚憲(17年)、藤原恭大(18年)、そして"令和の怪物"佐々木朗希(19年)と超高校級の逸材獲得に続けて成功。昨年は種市篤暉が本格派エース候補として台頭した。
 
 フロントもチーム強化に工夫を見せている。18年はチーム分析部を設立し、楽天からスタッフを招聘した。19年には、積年の課題である本塁打欠乏対策としてZOZOマリンスタジアムにホームランラグーンを設置。チーム本塁打数は9年ぶりに100の大台を超えた一方、被弾は微増程度にとどめ、プラス収支の効果を挙げている。

 こうした取り組みの成果は、最下位に沈んだ17年から5位、4位と着実に順位にも反映され始めた。若い力と組織力の結実が、05年以来遠ざかるリーグ優勝の歓喜をもたらすだろうか。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。SLUGGER編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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