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プロ野球

【2010年代通信簿:楽天】田中、則本など投手の活躍が目立った一方、打線は長打力不足が穴に

出野哲也

2020.06.05

 クライマックスシリーズではロッテを撃破。巨人との日本シリーズでは、第6戦でついに田中が敗戦投手となったが、第7戦は先発の美馬学から則本昂大へつなぎ、最後は前日に160球を投げた田中が締める完封リレーで日本一を勝ち取った。

 田中がメジャーリーグへ旅立ち、マギーも退団した14年は一気に最下位へ転落。星野監督も退陣し、球団副会長に転任した。田中に代わってエースに昇格したのは則本で、17年は15勝、自己最多の222奪三振。18年まで5年連続奪三振王となり、これはプロ野球史上3人目、右投手では初の偉業だった。13年のドラフトで5球団による抽選で入団した松井裕樹も、15年から抑えに定着して3年連続30セーブ、19年は38セーブでタイトルを獲得した。18年には前年に西武からFAで移籍してきた地元出身の岸孝之が最優秀防御率に輝いた。
 
 このように投手陣が好成績を残しても、14年以降は最高3位どまりなのは、打撃陣の力不足が原因。銀次や島内宏明らアベレージタイプの好打者はいるが大砲が慢性的に不足し、そこを助っ人で補おうとケビン・ユーキリス(14年)、ギャビー・サンチェス(15年)、ジョニー・ゴームズ(16年)などメジャーでも名の知れた大物を毎年のように加入させたが失敗が続いた。

 それでも19年は、西武からFAで加入した浅村栄斗と、新外国人のジャバリ・ブラッシュがともに球団新記録の33本塁打を放ち、CS進出を果たした。18年8月に就任した石井一久GMはFAも含めチーム強化に積極的に動いている。ソフトバンクという巨大な壁が立ちはだかるとはいえ、20年代に再び頂点に立つ可能性は決して低くないだろう。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
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