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プロ野球

【プロ野球選手の社会貢献活動:第4回】コロナ禍で球界全体に広がった動き。今後の展望と課題とは?

節丸裕一

2020.06.08

 前回紹介した巨人ファン事業部の吉野逸人さん は、「選手のマインドが大前提」とした上で、「ハンドリングしてサポートする役割は必要ですね。それぞれの選手にあった選択肢を示してあげる。やって良かった、という成功事例を作り上げることで、その連鎖を作っていける」と、周囲のサポートの重要性を説く。

 プロ野球選手の社会貢献活動の支援を専門的に担う団体もある。「野球で人を救おう」を合言葉にするNPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(BLF)は、非営利活動の情報収集やNPOセクターとのネットワーク作りも続けてきた。代表の岡田真理さんは、「選手の思いを実現するには、この役割は必須で、今後ますます求められていくはず。選手やファンの意識がより一層高まった今、さらに充実した仕組みを作りたいですね」と話していた。

 BLFの活動に積極的な和田毅(ソフトバンク)は、「特別なことじゃなく、当たり前に助け合える世の中にしたい」と話していた。「そのためにも、あまり構えず、楽しく、というのも大切だと思う」。
 
 菅野智之(巨人)も一歩先を行くアイデアを持つ。「課題はたくさんあると思いますが、普段から準備・備えをしておくということ。今回のような支援や基金などの活動も大切ですが、例えば、起こる前からプール金を作っておくとか、普段からそういう事態に備えをしておくのも必要。初動が早ければ、その後の対応も変わってくると思います」

“備え”の大切さは社会全体に当てはまる。そこを野球界が牽引できたら、どんなに素晴らしいだろう。

 5月25日。ついに、今年のプロ野球開幕が6月19日と発表された。それまでは「正直、難しいです。体調は大丈夫ですが、やはりメンタル的なことですよね」と複雑な胸の内を吐露していた菅野も、開幕が決定したことでモチベーションを上げている。

 一方で千賀は、「ファンの人が入らない球場は寂しい」と話す。確かに、しばらくは球場での観戦はできないが、テレビの前で選手たちに盛大な拍手を送ってほしい。選手と社会がともに支え合ってきたこの数ヵ月を振り返ると、今年の開幕は涙なしでは見られそうにない。

文●節丸裕一

【著者プロフィール】
せつまるゆういち。フリーアナウンサー。早稲田大学を卒業後、サラリーマンを経てアナウンサーに転身。現在はJ SPORTSなどでプロ野球やMLB中継を担当。フジテレビONE『プロ野球ニュース』にも出演。

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