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プロ野球

“打てる捕手”の新時代を切り拓け!開幕スタメン濃厚な2人の新人、郡司裕也と佐藤都志也への大きな期待

西尾典文

2020.06.10

 ここへきての評価急上昇ぶりでは、佐藤が凄まじい。ロッテにドラフト2位で指名された男は、6月5日の練習試合で則本昂大(楽天)からの“プロ第1号”を含む2ホーマー。さらに翌日も第2打席でライトスタンドへ叩き込み、2試合で3発の驚異的なバッティングを見せている。

 聖光学院高時代は肩こそ強かったが、打撃の評価はそれほど高くなかった。しかし、東洋大進学後に課題を克服。2年春にファーストで定位置をつかむと、5割近い打率を残していきなり首位打者を獲得。大学通算でも規定打席に到達した6回のシーズンで計5度も打率3割をマークするなど、レベルの高い東都大学リーグで結果を残し続けた。

 佐藤の打撃の特徴は、そのスウィングの柔らかさにある。リストワークも巧みだが、ヒザも上手く使えるので、緩急にもしっかり対応することができる。年々着実に身体が大きくなり、打球の速さや飛距離もアップ。また捕手でありながら抜群の脚力を誇り、一塁到達タイムは楽々と4.0秒を切る。実力のある捕手が多かった大学日本代表では、打撃とスピードを生かして外野を守ることもあったが、そこでも見事なプレーを見せていた。
 
 課題は郡司と同じくやはり守備面。地肩の強さに関しては郡司よりも確実に上であり、素早いモーションで強く投げることができるが、キャッチング、ブロッキングに関してはまだプロの一軍捕手としては物足りない。ただそれでも、一学年上の上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)など力のある投手を受けてきた経験があるのは大きなプラスと言える。正捕手の田村龍弘が故障で離脱したのは佐藤にとっては大きなチャンス。井口資仁監督も「開幕スタメンの可能性も十分ある」と言っており、期待が高まらずにはいられない。

 捕手はまず守りが重要と言われるが、打力のあるキャッチャーは過去の歴史を振り返っても大きな魅力である。90年代以降も古田敦也(ヤクルト)、城島健司(ダイエー)、阿部慎之助(巨人)と強打の捕手がいるチームが覇権をつかんできた。

 郡司と佐藤の二人も当初は守備で壁にぶつかる可能性が高いだろうが、何とか乗り越えてリーグを代表する打てる捕手へと成長してくれることを期待したい。それだけのポテンシャルがあることは、間違いない。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。

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