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プロ野球

【2010年代通信簿:ロッテ】「史上最大の下克上」を成し遂げたが、突出した個の不在でシーズン3位が最高

藤原彬

2020.06.03

10年、レギュラーシーズン3位から頂点まで一気に駆け上がり、「史上最大の下剋上」と呼ばれた。写真:朝日新聞社

10年、レギュラーシーズン3位から頂点まで一気に駆け上がり、「史上最大の下剋上」と呼ばれた。写真:朝日新聞社

 2020年、新たな年代が幕を開ける。ここで改めて、各チームの過去10年間の戦績を通信簿形式で評価してみたい(通信簿は「よくできました」「まずまずです」「可もなし不可もなし」「がんばりましょう」の4段階)。今回は「史上最大の下克上」で10年代をスタートさせたロッテの軌跡を振り返ってみよう。

■2010年代通算成績
658勝732敗45分(勝率.473)/リーグ5位(12球団9位)
日本一:1回 リーグ優勝0回 CS進出:4回

通信簿:可もなし不可もなし

 ロッテの2010年代最大のハイライトはディケイド最初の年にいきなり訪れた。シーズン3位からクライマックスシリーズに進出すると、西武、そしてリーグ王者のソフトバンクを撃破。余勢を駆って乗り込んだ日本シリーズでは中日と一進一退の攻防を繰り広げ、第6戦は延長15回、5時間43分を戦って引き分け、続く第7戦は延長12回で勝利と、激闘の末に頂点に立って「史上最大の下克上」を成し遂げた。

 だが、中心選手だった西岡剛がメジャーに移籍した11年は史上3度目の「前年日本一から最下位転落」という屈辱を味わった。その後も一進一退を繰り返したが、10年も含めてレギュラーシーズンの最高順位は3位、10年代全体の勝率はパ・リーグ5位と満足できない結果に終わった。
 
 10年間でリーグ優勝はおろか2位にも立てなかった要因を端的に述べると、「突出した個の不在」に尽きる。新人王には益田直也(12年)と石川歩(14年)を輩出しているが、パ・リーグ6球団で唯一、MVPと沢村賞のどちらも受賞者なし。投手と野手で獲得したタイトルも、リーグ最少の9つにとどまった。

 18年に通算2000安打に到達した福浦和也はディケイドの大半を代打として過ごし、首位打者に2度輝いた角中勝也のような実力者はいても、他球団のファンにも認知されるような看板選手がなかなか出てこなかった。

 打線は海風の影響で長打が出にくい本拠地球場の影響もあり、10~18年は30本塁打以上の選手は皆無。統一球が導入された11年は2ケタ本塁打に届いた選手すらおらず、チーム全体でわずか46本、本塁打王のタイトルを獲得した中村剛也の本数(48本)を下回る事態も起きた。その後も長打不足は課題として残り続けたが、にもかかわらず外国人補強で好守のクルーズや俊足のサントスを獲得するなど、ちぐはぐな動きも見られた。
 

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