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プロ野球

「Withコロナ」の時代に日本の野球はどう変化していくのか。起用法だけでなく、風習・慣例にも新たなマインドが…

氏原英明

2020.06.29

 もっとも、こうした起用法の変化は、西武-ソフトバンクだけではない。

 同一カード6連勝を含む8連勝をあげたロッテは、28日の試合では6−5と1点リードの9回表、クローザーの益田直也をマウンドに上げていない。26、27日と連投、24日にも投げていたためである。

 また、セ・リーグでは外国人選手を多く抱えるDeNAと阪神は、憎いほどのやりくりを見せている。

 DeNAはピープルズが先発した27日に、パットンをベンチから外していた。そして、28日にピープルズを登録抹消。エスコバーを昇格させ、ロペスをベンチから外した。これは28日にパットン、エスコバーで救援陣を固めるための処置である。また、27日にパットンを外せたのも、26日の試合で三嶋一輝を休ませていたためで、そうしてうまくやりくりしているのだ。
 
 一方の阪神は、24日の試合で先発したガンケルを翌日には抹消している。そして、27日からはサンズを登録。外国人は、そのサンズとスアレス、ボーア、マルテの4人体制で、2日間を戦った。また、ブルペンの登録選手においても、前日に36球を投じたルーキーの小川一平を27日にベンチから外している。

 もちろん、こうした選手登録のやり方は、今シーズンになって始めたばかりのものではない。ただ、開幕延期によるイレギュラーなシーズンが、様々な状況に対応できるようなルーティンや起用法の変化につながっているのは言うまでもないだろう。

 野球に限ったことではないが、日本は過去の風習や慣例を大事にしすぎるところがある。時に、メニューから省いてもいい内容でも、当たり前のようにやってきたことから、なかなか離れられない。

 メジャーリーグだと、ナイトゲームの翌日がデーゲームの場合は、当日の練習そのものがないという球団が多くある。疲労回復の時間を確保するためだが、日本はナイターでどれだけ遅くなっても、翌日のデーゲームには朝の9時から選手たちがグラウンドに来ているケースはザラにある。

 先に述べた通り、28日の西武―ソフトバンク戦ではシートノックがなかった。ホームの西武はもちろんだが、ソフトバンクにしても、5戦も同じところで戦えば球場の形状や芝の跳ね具合などは十分理解しているだろう。そこまで形式にこだわらなくて良いのだ。事実、この試合は、野選こそあったものの、無失策試合だったのだ。

 イレギュラーなシーズンが新たなマインドを日本の野球に作り出している。「WITHコロナ」の時代にあって日本野球がどのように変わっていくのかは、今季のもう一つの楽しみかもしれない。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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