そして迎えた昨年の開幕戦、2人はナショナルズ・パークで激突した。デグロムは6回を投げて5安打10奪三振の無失点、シャーザーはデグロムを上回る7・2回で2安打13三振を奪いながら2点を失い、結果はここでもデグロムの勝ち。開幕戦で両軍の先発投手がともに2ケタ三振を奪ったのは、実に49年ぶりのことだった。試合後、デグロムはこう語った。「こういう試合は楽しい。一球一球が大事だと分かっているから」
ちなみに、2人の直接対決はこの試合を含めて計5回。デグロムが2勝1敗と勝ち越しているが、投球内容ではデグロムが32.0回で自責点10、シャーザーが31.2回で12と互角だ。
開幕戦に投げ勝ったデグロムは、シーズン全体の成績でもシャーザーを上回った。11勝とまたも勝ち星は伸びなかったが、リーグ最多の255奪三振、防御率2.62は2位の好成績で、前年に続いてサイ・ヤング賞を獲得した(シャーザーは投票3位)。
だが、シャーザーは、ポストシーズンに入って〝エース〞としての存在感を我々に強く印象付けた。
夏場に背中の故障で2度戦列を離れ、決して万全の状態ではなかった35歳の右腕は悲願の世界一達成のため奮闘した。ワイルドカード・ゲームに先発後、中2日でリリーフ登板、再び中2日で先発とフル回転を続けた。
しかし、ワールドシリーズ第5戦は首痛のため先発を回避。「自分で服を着ることすらできなかった」ほど激しい痛みだったが、3勝3敗で迎えた運命の第7戦のマウンドに、シャーザーは帰ってきた。満身創痍の状態ながら気迫のこもった投球で何とか5回2失点に抑えると、チームは逆転勝ちでアストロズを下し、球団創設以来初めてのワールドシリーズ優勝を果たした。
世界一を決めた後、シャーザーはフィールド上で仲間たちと次々に熱い意抱擁を交わしながら男泣きに泣いた。力強い投球で打者をねじ伏せるのもエースの姿なら、ボロボロの状態でも刀折れ矢尽きるまで戦うのもまたエースの姿。ポストシーズンでシャーザーが登板した5試合すべてでナショナルズが勝利したという事実が、すべてを物語っている。
デグロムが同じようにメッツを頂点まで導いた時、本当の意味でシャーザーと肩を並べることになるだろう。今や希少種となった〝絶対的エース〞の名勝負物語はまだ終わらない。
文●久保田市郎(SLUGGER編集部)
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ちなみに、2人の直接対決はこの試合を含めて計5回。デグロムが2勝1敗と勝ち越しているが、投球内容ではデグロムが32.0回で自責点10、シャーザーが31.2回で12と互角だ。
開幕戦に投げ勝ったデグロムは、シーズン全体の成績でもシャーザーを上回った。11勝とまたも勝ち星は伸びなかったが、リーグ最多の255奪三振、防御率2.62は2位の好成績で、前年に続いてサイ・ヤング賞を獲得した(シャーザーは投票3位)。
だが、シャーザーは、ポストシーズンに入って〝エース〞としての存在感を我々に強く印象付けた。
夏場に背中の故障で2度戦列を離れ、決して万全の状態ではなかった35歳の右腕は悲願の世界一達成のため奮闘した。ワイルドカード・ゲームに先発後、中2日でリリーフ登板、再び中2日で先発とフル回転を続けた。
しかし、ワールドシリーズ第5戦は首痛のため先発を回避。「自分で服を着ることすらできなかった」ほど激しい痛みだったが、3勝3敗で迎えた運命の第7戦のマウンドに、シャーザーは帰ってきた。満身創痍の状態ながら気迫のこもった投球で何とか5回2失点に抑えると、チームは逆転勝ちでアストロズを下し、球団創設以来初めてのワールドシリーズ優勝を果たした。
世界一を決めた後、シャーザーはフィールド上で仲間たちと次々に熱い意抱擁を交わしながら男泣きに泣いた。力強い投球で打者をねじ伏せるのもエースの姿なら、ボロボロの状態でも刀折れ矢尽きるまで戦うのもまたエースの姿。ポストシーズンでシャーザーが登板した5試合すべてでナショナルズが勝利したという事実が、すべてを物語っている。
デグロムが同じようにメッツを頂点まで導いた時、本当の意味でシャーザーと肩を並べることになるだろう。今や希少種となった〝絶対的エース〞の名勝負物語はまだ終わらない。
文●久保田市郎(SLUGGER編集部)
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