●2 浅村栄斗(楽天)
現時点でのMVP争いは、事実上浅村と柳田悠岐(ソフトバンク)とのマッチレースとなっている。開幕から全試合出場、2試合を除いて4番に固定され、14本塁打と49打点はいずれもリーグトップ。開幕17試合の時点で9本、26打点だった際にはスポーツ紙が「年間64発&183打点ペース」と報じたほどの量産ぶりだった。昨年はリーグワーストの162三振を喫するなど、若干粗さが目立っていた点も、今季は44試合で29個と改善されている。ただし本職の二塁ではなく、指名打者での出場が多くなっているため、守備面での貢献が限られているのがマイナス材料だ。
●1 柳田悠岐(ソフトバンク)
昨年は故障で38試合しか出場できなかったが、今季は開幕から猛ダッシュ。8月10日時点で.377の高打率をキープしており、巷では夢の4割を期待する声も聞かれる。特に7月は月間打率.433、OPS1.356と大爆発。18日のオリックス戦で放った9号アーチは推定飛距離150メートル、京セラドームの天井を直撃する驚異の一撃だった。44試合中、一度も出塁できなかったのはたった3試合。出塁率.497で、こちらも史上初の5割超えの可能性がある。首位のソフトバンクだが、投打とも特筆するほど好成績を残している者は他にいないだけに、柳田の貢献度はずば抜けて高い。
●その他の候補
茂木栄五郎(楽天)はリーグ6位の打率.321、8位のOPS.911と打撃絶好調。ショートというポジションを考えれば、その価値はさらに高い。山川穂高(西武)と中田翔(日本ハム)は、いずれも打線の中軸として本塁打と打点ではリーグ上位に入っている。特に中田の44打点はチーム全得点の25%に相当するほどだが、山川ともども打率は.230前後では、MVP候補に推すまでには至らない。ソフトバンクで柳田に次ぐOPS.739を記録している栗原陵矢は、32打点も6位。健闘しているのは間違いないけれども、出塁率.302は低すぎる。
投手では山本由伸(オリックス)が奪三振はリーグトップと健闘しているが、昨年一度も2点台にすら乗らなかった防御率は3.32。これでもリーグ3位だが、やはりチーム成績が振るっていないことも踏まえると、MVPレースにおいてはここから大きな前進は望めないだろう。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
【NPB AWARDS 2019】MVPはセ・リーグ坂本勇人&パ・リーグ森友哉に決定!ともに初受賞!
現時点でのMVP争いは、事実上浅村と柳田悠岐(ソフトバンク)とのマッチレースとなっている。開幕から全試合出場、2試合を除いて4番に固定され、14本塁打と49打点はいずれもリーグトップ。開幕17試合の時点で9本、26打点だった際にはスポーツ紙が「年間64発&183打点ペース」と報じたほどの量産ぶりだった。昨年はリーグワーストの162三振を喫するなど、若干粗さが目立っていた点も、今季は44試合で29個と改善されている。ただし本職の二塁ではなく、指名打者での出場が多くなっているため、守備面での貢献が限られているのがマイナス材料だ。
●1 柳田悠岐(ソフトバンク)
昨年は故障で38試合しか出場できなかったが、今季は開幕から猛ダッシュ。8月10日時点で.377の高打率をキープしており、巷では夢の4割を期待する声も聞かれる。特に7月は月間打率.433、OPS1.356と大爆発。18日のオリックス戦で放った9号アーチは推定飛距離150メートル、京セラドームの天井を直撃する驚異の一撃だった。44試合中、一度も出塁できなかったのはたった3試合。出塁率.497で、こちらも史上初の5割超えの可能性がある。首位のソフトバンクだが、投打とも特筆するほど好成績を残している者は他にいないだけに、柳田の貢献度はずば抜けて高い。
●その他の候補
茂木栄五郎(楽天)はリーグ6位の打率.321、8位のOPS.911と打撃絶好調。ショートというポジションを考えれば、その価値はさらに高い。山川穂高(西武)と中田翔(日本ハム)は、いずれも打線の中軸として本塁打と打点ではリーグ上位に入っている。特に中田の44打点はチーム全得点の25%に相当するほどだが、山川ともども打率は.230前後では、MVP候補に推すまでには至らない。ソフトバンクで柳田に次ぐOPS.739を記録している栗原陵矢は、32打点も6位。健闘しているのは間違いないけれども、出塁率.302は低すぎる。
投手では山本由伸(オリックス)が奪三振はリーグトップと健闘しているが、昨年一度も2点台にすら乗らなかった防御率は3.32。これでもリーグ3位だが、やはりチーム成績が振るっていないことも踏まえると、MVPレースにおいてはここから大きな前進は望めないだろう。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
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