またこれは投手、野手両方に共通することではあるが、少なからず選手間のレベル差があったことも事実である。高野連からは事前にいわゆる「記念受験」的な参加は控えるようにというお達しはあったと言われているが、高校から直接プロを狙うには明らかに力不足の選手が参加できてしまう仕組みにも改善の余地がありそうだ。
ここからは改善案だが、個人的な能力を測るプログラムの導入と本格的な試合の実施を提案したい。野手については、ベースランニングか50メートル走のタイムトライアルと遠投は必ず入れるべきだろう。そうすることで打撃だけでなく、守備、走塁が持ち味の選手が力を発揮できる機会は増えるはずだ。そしてシートノックに関しても試合前に行うような形式だけではなく、内野手であればランニングスローやグラブトス、外野手であれば守備範囲の広さとスローイング能力が分かるようなプログラムも取り入れることで、守備能力についてもより判断しやすくなるだろう。
そしてもう一つはやはり通常に近い形での試合を行うことを望みたい。日程が限られている中では難しい面も当然あるが、イニング数を短くするなどして工夫すれば、全員が出場する形での試合は可能なはずである。少なくとも時短を狙っての1ストライク1ボールからのスタートは改めるべきだろう。
参加する選手のスクリーニングについては、本番の練習会の前に別の形の練習会を行うことや、プロのスカウトや指導者からの推薦選手と、自薦選手を分けるなどの方法も検討したい。また、今年のドラフトでのプロ入りを目指している選手と、大学や社会人、独立リーグなどで野球を継続したい選手を分けるなども一つの方法と言えるだろう。
いくつか課題と改善点を示したが、今回の取り組みが行われたこと自体は大きな前進であり、参加した選手も視察したスカウトも軒並み好意的な意見が多かった。来年も継続することを検討すると言われているが、形式的なものに終わらずに、ぜひより良いものにしていくような工夫が見られることを期待したい。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。
【PHOTOギャラリー】球界を牽引するスター選手たちの「高校」「大学」当時を秘蔵写真で振り返る
ここからは改善案だが、個人的な能力を測るプログラムの導入と本格的な試合の実施を提案したい。野手については、ベースランニングか50メートル走のタイムトライアルと遠投は必ず入れるべきだろう。そうすることで打撃だけでなく、守備、走塁が持ち味の選手が力を発揮できる機会は増えるはずだ。そしてシートノックに関しても試合前に行うような形式だけではなく、内野手であればランニングスローやグラブトス、外野手であれば守備範囲の広さとスローイング能力が分かるようなプログラムも取り入れることで、守備能力についてもより判断しやすくなるだろう。
そしてもう一つはやはり通常に近い形での試合を行うことを望みたい。日程が限られている中では難しい面も当然あるが、イニング数を短くするなどして工夫すれば、全員が出場する形での試合は可能なはずである。少なくとも時短を狙っての1ストライク1ボールからのスタートは改めるべきだろう。
参加する選手のスクリーニングについては、本番の練習会の前に別の形の練習会を行うことや、プロのスカウトや指導者からの推薦選手と、自薦選手を分けるなどの方法も検討したい。また、今年のドラフトでのプロ入りを目指している選手と、大学や社会人、独立リーグなどで野球を継続したい選手を分けるなども一つの方法と言えるだろう。
いくつか課題と改善点を示したが、今回の取り組みが行われたこと自体は大きな前進であり、参加した選手も視察したスカウトも軒並み好意的な意見が多かった。来年も継続することを検討すると言われているが、形式的なものに終わらずに、ぜひより良いものにしていくような工夫が見られることを期待したい。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。
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