一方、投手に比べると野手の充実度は見劣りする。福良淳一GMの現役時代を思わせる、小技の利く1・2番タイプが多く集まり、長打を打てる選手が少ない。代走で盗塁を決めまくり、「走れば必ずセーフ」と注目の佐野にしても、打撃の非力さを克服できない限りレギュラーの座をつかむのは難しい。近年のドラフトでは頓宮裕真、勝俣らパワーヒッター候補も獲得しているのだが、ともに二軍で苦戦中。8月末時点で二軍の最多本塁打は3本が3人、それもU-23より上の選手が打ったものという寂しい状態だ。
ただ、ここ2年間で太田、紅林と好素材の遊撃手を上位指名で確保したのは前進と言える。右手首の手術で今季は打席に立てていないが、昨年高卒1年目で一軍デビューを果たした宜保もいる。3人とも遊撃手ではあるが、コンバートが容易なポジションなので大きな問題にはならない。彼らを今後数年で主力へ成長させ、なおかつ長距離砲タイプの獲得・育成が上手く行けば、低迷状態から抜け出せるだろう。来季から導入される三軍制が機能するかどうかもカギになりそうだ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
ただ、ここ2年間で太田、紅林と好素材の遊撃手を上位指名で確保したのは前進と言える。右手首の手術で今季は打席に立てていないが、昨年高卒1年目で一軍デビューを果たした宜保もいる。3人とも遊撃手ではあるが、コンバートが容易なポジションなので大きな問題にはならない。彼らを今後数年で主力へ成長させ、なおかつ長距離砲タイプの獲得・育成が上手く行けば、低迷状態から抜け出せるだろう。来季から導入される三軍制が機能するかどうかもカギになりそうだ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。