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プロ野球

【2020ドラフト総括:阪神】佐藤輝明の指名で浮かれるなかれ、注目されるのは育成方針。高校生野手の補充がマイナスポイント

西尾典文

2020.10.29

 もうひとつのテーマだったリリーフ投手の補強については、3位で佐藤蓮を指名できたことが大きい。実績を考えると少し順位が高いようにも感じるが、150キロを超えるスピードとそれに見合うだけの球威は大きな魅力だ。こちらも佐藤輝と同様に即戦力ではなく、3年目以降の戦力として考えておくのが妥当だろう。

 早くから戦力として期待できる選手となると、投手では2位の伊藤、野手では6位の中野の名前が挙がる。

 伊藤は球威こそ欠けるものの試合を作る能力が高く、調子の波が極めて小さい計算のできる投手だ。プロでも同じ投球ができるかは微妙なところだが、豊富な経験は大きな武器である。中野は高いレベルで三拍子揃った遊撃手で、小柄だがパンチ力も備えており、攻守に安定感が光る。一軍の二遊間もまだまだ絶対的な選手はいないので、レギュラー争いに加わる可能性は十分だ。
 
 一つ残念だったのが、高校生の指名が7位の高寺一人だったというところ。昨年は5人の高校生を指名しているが、特に野手はまだまだ有望な若手が不足している印象は否めない。佐藤輝を獲得できたことは極めて大きいが、さらにチームを大きくするためにも、高校生の強打者タイプの選手をもう少し積極的に狙ってもらいたかった、というのが本音である。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。
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