また、昨オフにメジャー挑戦の意志を示し、国内ＦＡ権を取得した西川遥輝。国内・海外問わず、彼が抜けるとなればチームにとっては大打撃となる。しかし、彼に取って代われるような選手はそうそういないので、「五十幡レベル」でない限り、即戦力候補は要らなかった。

　そして結果は、まんまとその五十幡が２位で手に入った。ドラフト云々問わず史上最速級の俊足に加えて強肩の持ち主でもあり、打力さえ備われば不動の１番・センターになれる。それだけに、最初は二軍でしっかり打撃技術を身につけさせたい。即一軍で使った結果、成長が阻害された岡大海（現・ロッテ）の二の舞にならないよう、拙速な起用は慎みたい。
  　今回のドラフトでは伊藤をはじめ、今川、根本、河村説人（星槎道都大→ロッテ４位）ら今年は北海道に有力な候補がひしめいていた。伊藤の好敵手だった河村こそ取り逃したものの、完成度の高い高校生左腕・根本を５位、そして上位指名も噂された個性派スラッガー・今川を６位で確保できたのは大きい。

　今年は「弱いポジションを補充する」のではなく、「いい選手を優先して指名する」日本ハムの強みが出た。仮に前者のような姿勢だったら、２位では古川を指名し、五十幡は取れなかっただろう。捕手の補強を後回しにしてでも五十幡獲得に向かったことが、古川との両取りにつながったのだから、今後もこの方針は継続すべきだ。

文●出野哲也