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【お股ニキ流アナライズ Vol.3】第2次全盛期を迎えるバーランダーのV字復活

お股ニキ

2019.11.10

年収20億円のスーパーモデルと結婚などで栄華を極めたバーランダーに、さまざまな転機が訪れる。(C)Getty Images

年収20億円のスーパーモデルと結婚などで栄華を極めたバーランダーに、さまざまな転機が訪れる。(C)Getty Images

 ただ、さすがに投げすぎの影響もあって13年オフに体幹筋を痛めると、翌年は85マイルしかスピードが出ないという事態に陥った。この年は防御率4点台に終わり、15年も故障が再発して初の故障者リスト入りするなど、わずか5勝。バーランダー自身も「キャリアが終わった」と悲観していたという。かくいう私も、数々のタイトルや大型契約も手にし、さらにはスーパーモデルのケイト・アップトンとの交際が報じられるなど、「野球へのモチベーションが下がっているのかな?」と心配していたのだが、16年にV字復活を果たした。

 スライダーをカッターに近づけ、パワーカーブとホップする4シームを軸とする、私が言うところの「スラット・カーブ」型投球でサイ・ヤング賞投票2位。22勝で同賞に輝いたリック・ポーセロ(レッドソックス)より投球内容は数段上で、チームの援護がなかったことにより16勝どまりだったこと、すでに受賞歴があること、さらにレイズの記者がシーズン終了前に投票を終えて5位にも入れなかったことで受賞を逃し、ケイト・アップトンや家族がブチ切れていたことは記憶に新しいだろう。
 
 そんな栄華を極めたバーランダーに転機が訪れる。17年は開幕からやや腕が下がってリリースポイントが低下し、制球やスライダーのキレこそ前年ほどではなかったが、徐々に修正して支配的な投球を見せ、8月に前田健太と投げ合ったドジャース戦では6回途中まで無安打の快投。3度目のノーヒッターかと色めき立った。次元の違う圧倒的な投球に、私は「プレーオフを勝ちたいチームなら、どれだけの出費をしてもとるべき」とツイートした。

 そこで実際にバーランダーを獲得したのがアストロズだった。弱い時期に育て上げた若いタレントとデータ分析によるID野球が融合し、快進撃を続けていたアストロズの最後のピースがバーランダーだった。豊富な経験と圧倒的な力を持つバーランダーを、15年のサイ・ヤング賞左腕ダラス・カイケル(現ブレーブス)が説得し、本人とフロントが最終的に移籍を決断した。

 移籍後は、タイガース時代の修正でカッターに近づきすぎていたスラッターをさらに微調整して縦の落差を増やし、4シームは回転効率を上げてよりホップさせる投球に変更。9月は5勝、防御率1点台の支配的な投球を披露し、プレーオフでも好投してそのままワールドシリーズ制覇まで駆け上がった。
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