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MLB

【お股ニキ流アナライズ Vol.3】第2次全盛期を迎えるバーランダーのV字復活

お股ニキ

2019.11.10

チリノスの素質の高さはお股ニキも認めるところ。アストロズも同じく目を付けていた?(C)Getty Images

チリノスの素質の高さはお股ニキも認めるところ。アストロズも同じく目を付けていた?(C)Getty Images

 そして36歳を迎えた今シーズンも、衰えるどころかさらなる進化を見せている。本当に浮き上がって見える4シームと、さらに強力になったスラット型スライダー、パワーカーブ、そして正確な制球で3度目のノーヒッターを達成。2位どまりで泣かされ続けてきた2度目のサイ・ヤング賞を、チームメイトのゲリット・コールと争っている。リーグ最多の被本塁打以外は欠点のない、ほぼ完璧な投球だった。

 そんなバーランダーとシーズンを通じて全試合でバッテリーを組んだのが、今季からアストロズに移籍してきたロビンソン・チリノスである。

 元々レンジャーズで2番手捕手だったチリノス。ダルビッシュ有(現カブス)がトミー・ジョン手術から復帰し、私もツイッターでの絡みもあって注目して見るようになった16年終盤に、ダルビッシュとバッテリーを組むことがあった。この年の夏は大物捕手ジョナサン・ルクロイ(現カブス)が移籍してきたが、ルクロイは明らかにコンディションを落として本来のプレーを失っていた。私自身も少しずつ捕手を見る目が養われていたこの時期に、チリノスの成長をさまざまな面で感じていた。配球や打撃で進境著しく、私はルクロイからレギュラーを奪うだろうと予測した。
 
 2度の球宴選出を果たしているルクロイを批判したことで、SNSの一部メジャーファンに“異常対抗”されたが、結果は私の予測通りだった。17年に出場試合数を増やしたチリノスは、17本塁打を放ってルクロイからレギュラーを奪い、ダルビッシュら投手陣も好リード。また、それまであまり意識していなかったフレーミングも改善に取り組み、徐々に改善していった。

 そうしたチリノスの成長を、アストロズも同地区で対戦して感じていたのだろう。昨オフにFAとなるとすぐに契約。迎えた今季は、さらなるフレーミングの改善に取り組むだろうと拙著“お股本”でも予想した通りに向上させ(18年-14.5→19年+2.0/StatsCorner)、自己最多の114試合に出場して17本塁打、OPS.790とアストロズに欠かせない存在となっている。

 個人的にもさまざまな面で思い入れのあるバーランダーとチリノスの黄金バッテリーに、今年のポストシーズンはぜひ注目してほしい。

【プロフィール】
おまたにき/野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、さまざまなデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配ついての考えをツイッターで発信すると、2019年8月現在、2万5000人以上にフォローされる人気アカウントとなる。プロ野球選手にアドバイスすることもあり、中でもツイッターで知り合ったダルビッシュ有(カブス)に伝授した“お股ツーシーム”は多くのニュース媒体でも取り上げられた。今年3月に発売した初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論』(光文社)が大反響を呼んでいる。大のサッカー好きでレアル・マドリーファン。
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