ロイヤルコントラクトサービスは阪神や巨人など京セラで主催試合を行うチームはもちろん、ビジター球団にも料理を提供している。野村店長は「オリックスさんだけじゃなく、ビジター球団の方からも『唐揚げは絶対に入れてほしい』と言われますね。唐揚げを入れないよう要望していた球団にＦＡ移籍した選手が『京セラに行ったら唐揚げが楽しみだったのに…』と球団に要望したみたいで（笑）試合後のみ復活したんですよ。試合中につまめるように半分に切ってくれという球団さんもあります（笑）。プロ野球選手は唐揚げが好きな人が多いみたいですね」と笑みを浮かべる。仕込みから京セラで作っているという手作りの唐揚げには相当な自信を持っているようだ。

　オリックスのエース山本由伸は「先発に回って唐揚げは間隔を開けるようにした」と話していたが、暑い時期には「ざるラーメンは必ず頼みます」とのこと。「ざるラーメンをさらに美味しく食べるためにカレーを入れることもある」ほどの熱愛ぶりで、山本以外にもざるラーメン愛好家は多い。野村店長いわく「山本選手にはたくさん食べていただいてます。ざるラーメンは他球団にもファンが多いんですよ。実際、他球団の食堂担当の方からお問い合わせをいただくこともありました。今年は11月までシーズンがあったので、温かいちゃんぽんもよく出ました」。
  　久保管理部長が話しているように、一昨年からナイター時には夕食も提供しているが、選手の大半が利用するようになったという。今年はコロナ感染対策のため、複数人による外食が禁止されていたことも影響があったのだろう。ビジターでも、試合当日移動のチームが食事を済ませてからバスに乗ったり、前の遠征先から早めに入って練習前にサロンで昼食を取るチームもいくつかあった。「選手には美味しいものを食べていただきたい」という野村店長やスタッフの思いが、オリックスに限らず各球団に伝わっているのは間違いない。

「私たちが提供する食事がオリックスさんの力になれたら嬉しいですね」。そう語る野村店長も、チームが優勝する日を願っている一人である。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ／1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第９回 特集オリックス・バファローズ』（カンゼン）ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。