そして、２位では元謙太（中京高）、３位では甲子園を沸かせた来田涼斗（明石商高）と高校生を２人指名した。これについて牧田編成部副部長は「ウチも（昨年２位指名の）紅林弘太郎が１年目で試合に出てましたけど、近年の高校生は早いんですよ。ポテンシャルの高い高校生を追って、山下、元、来田の３人に行きました。これは嬉しかったですね。将来のレギュラーを獲れました」と会心の指名だったことを強調する。

「２年連続で最下位なんで、『高校生ばかりで大丈夫なの？』と思われるかもしれませんが、中嶋聡監督が『それでもいい』と言ってくれたんでね。高校生でも３年でレギュラー獲れるような素材、１年目、２年目から一軍を経験できるぐらいの選手を確実に指名出来ればと思って、しっかりそれが出来たんでね。そういった意味では将来って言いますけど、２年後が楽しみですね」。近年のオリックスでは、山本由伸が高卒３年目で最優秀防御率のタイトルを獲得。この日の会見でも、選手たちの口から「山本選手」という名前が何度も飛び出していた。
  　一方、６位では日本生命から28歳の投手・阿部翔太を指名した。この指名にも、牧田編成部副部長の熱い思いがあった。実は、牧田氏自身も28歳で日本通運からプロ入りしている。「プロの入り方というのはいろいろあるんですけど、私みたいに28歳でプロ入りをした人間が、今こうしてスカウトをやってるんでね。選手に夢や目標を与える意味で野球界全体のバランスを考えて、お願いしました。担当の下山（真二スカウト）も日本生命出身ですし。もちろん即戦力でやってもらいたいですし、メンタルの強さも評価した上の指名です」

　また、「育成での指名なら入団拒否」とも言われていた宇田川優希（育成３位）、佐野如一（育成５位）の仙台大コンビに関しては「いろいろ大変でしたね。来る来ないは別として交渉権が欲しかった。口説く自信はあったので。ドラフト翌日、山下の挨拶に行かずに、一人で仙台大に行きましたから。ただ、社会人が決まってたら行ってなかったです。彼らをこういった形で獲ったからには、支配下にして一流にしないと。『やっぱりプロ行かなかった方が良かった』と言われちゃうんでね」。プロ入りを口説き落とした牧田氏の思いに応えるかのように、入団会見での宇田川と佐野の目がギラついていたのが印象的だった。