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高校野球

「継投」が基本の東海大相模と「まずはエースに任せる」天理。勝敗を分けた両チームの投手運用

氏原英明

2021.03.31

 一方、敗れた天理はエース・達が登板しなかった。ただ、先発した仲川はこれまで登板機会が少なかったのを疑いたくなるほどの落ち着いた投球だった。しかし、仲川にしても、9回に今大会初登板を果たした南沢佑音にしても、立ち上がりに失点したのは悔やまれる。さすがに公式戦での経験不足は否めなかった。

 ここに東海大相模との違いがあり、試合を分けたのもこの差かもしれない。とはいえ、これは戦い方の違いとも言える。天理・中村良二監督はこう持論を語る。

「それぞれの監督の考え方だと思う。うちや中京大中京さんは常に先発にエースを立てて、投げられるだけ投げて先を考えずに戦う。東海大相模や明豊さんは継投でうまく投手を使っていくタイプのチーム。どちらがいいかは分からない。うちは一番いい投手がゲームを作って終わらせる。その上で、アクシデントがあった場合には2番目にいい投手を使う。ずっとそういう考えでやっています。大会を終えても、その考えを変えるつもりもないです。この試合に勝たないと次がない、本人が投げられると言うのであれば、僕は投げさせたい。本人が無理だと言えば投げさせない。選手たちには、これが天理の野球だと伝えています」
 
 エースが戦えるところまで投げて、その後を2番手以降の投手たちが引き継いでいく。1回戦から2度の160球登板など、今年初の公式戦から奮闘してきた達の体が悲鳴をあげてしまったことは戦い方の違いに過ぎない。そういうことなのだろう。

 大会終盤にエースがベストコンディションを作れるよう戦ってきた東海大相模。逆に、最初からエースがフル回転し、最後に力尽きた天理。

 チームを優勝に導く上でのマネジメントの違いがこの日の勝負を分けた。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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