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プロ野球

「手術してダメだったらこのまま終わってもいい」――どん底から這い上がったロッテ・高浜卓也が塁上で弟と見た光景<SLUGGER>

村岡範子

2021.06.29

 気持ちが吹っ切れ、次第に調子も上向きになっていったが、20年は支配下返り咲きはならず、オフに改めて育成選手として契約した。迎えた21年、高浜はある思いを秘めてシーズンに臨んだ。「支配下になりたいという気持ちは強かったですけど、支配下になれなくてクビになったとしても、思い切りやったからいいやと思える一年にしようと思いながら野球をやろうって」。

 3月6日、春季教育リーグの日本ハム戦でホームランを放つと、イースタン・リーグが開幕してからも打撃の勢いは衰えなかった。「特に何かを変えたっていうことはなくて、鳥越(裕介)さんが二軍監督になって、『お前は打たないことには支配下になれないから』って言われて。最初の方は代打とかが多かったですけど、1打席をより一層大切にしようというか、一軍の打席に立っているイメージをしながら二軍の試合でも打席に立っていました」

 5月31日に支配下登録となり、6月1日から一軍登録となったが、最初の7打席はヒットが出なかった。「結果がすべてなので。しがみついているような、崖っぷちにいるような気持ちです。感触自体は悪くないんですけど、自分の中で感じているのは打球が上がってこない。いい当たりをしてもゴロが多い。打球の質自体は、芯には当たっているという感触はある。打球が上がってこないとヒットにならないので」。
 
 実は、日本ハムに所属する7歳年下の弟・祐仁も、兄と同じような境遇を経験している。プロ5年目を終えた19年オフに戦力外通告を受けて育成登録となり、翌年7月に支配下へ復帰。今季は中田翔の離脱後、一塁で出場機会を増やしている。実は、祐仁が育成契約を受け入れたのも、兄の助言を受けてのものだった。

「最初、あいつは育成で残るよりもトライアウトを受けて支配下で取ってくれる球団を探すって言ってたので、『それは絶対やめた方がいい』という話はしました。もし取ってくれるところがあればいいですけど、育成でもNPBに残れるんであれば、支配下に戻るチャンスが必ずあるからっていう話はしました」
 
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