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プロ野球

【追悼・大島康徳】史上屈指の“代打男”、失明の危機から1か月で再起…「負くっか魂」を貫いたレジェンドの知られざる逸話4選

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2021.07.05

▼交通事故で失明の危機も
 26年という長い長い現役生活を送った大島だが、実は重大な選手生命の危機に見舞われたことがある。80年4月、雨の道路でスリップして交通事故を起こし、愛車のBMWは大破。何と左目にシガーライターが刺さっていたという。

 失明も覚悟するような重傷だったが、奇跡的に眼球自体には何の傷もなかった。また、一時的に落ちた視力もすぐに回復し、わずか1か月で戦線復帰。この年は108試合に出場して打率.251、18本塁打の成績を残した。大島本人は後年、ブログで「事故の数年前に亡くなった兄が守ってくれたのだ」と振り返っている。
 
▼実績は十分なのに……
 前述の通り選手としての実績は十分で、さらには一塁・三塁・外野をこなす汎用性を持っていたにもかかわらず、意外にもベストナインを受賞したことはない。最も可能性が高かったのは36本塁打でタイトルを獲得した83年だったが、レフトでフル出場したこの年は、ライバルが多かった。受賞したのはチームメイトで最多安打の田尾安志、シーズン76盗塁のセ・リーグ記録を樹立した松本匡史(巨人)、本塁打王を分け合った山本浩二(広島)の3人。大島は得票5位タイに終わっている。

 さらに、名球会入りを果たしているにもかかわらず、引退から30年近くが経過した今でも殿堂入りはできていない。大島よりも通算安打数が少なく、かつ歳も若い秋山幸二や古田敦也らが殿堂入りしているにもかかわらずである。プレーヤー部門では14年を最後に資格を失ったため、あとはエキスパート部門に望みを託すことになるが、大島が実績にふさわしい評価を受けられるのは、一体いつのことになるだろうか。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)
 

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