専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

TJ手術を経てつかんだ重剛一体の新スウィング――岩村明憲が見た大谷翔平ホームラン量産の理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.07.12

片手一本でグリーンモンスター超えの本塁打も放つなど、“ただ引っ張る”だけではないのも、本塁打量産の理由と岩村氏。(C)Getty Images

片手一本でグリーンモンスター超えの本塁打も放つなど、“ただ引っ張る”だけではないのも、本塁打量産の理由と岩村氏。(C)Getty Images

――データを見ると、大谷選手は今年、打球に明らかに角度がついている一方、三振率も上がっています。三振を恐れずフルスウィング、かつスウィングがアッパーになっているというようなことが、ホームラン増加に寄与しているのでしょうか?

 僕は、特にスウィングがアッパーになっているとは感じてはいないんですよ。もともと大谷選手は、構えからトップに入るところも、グリップエンドも比較的高い位置にあるんですけど、逆にそこからボールに対して、すごく鋭角に入っているんです。だからこそ、ボールにバックスピンがかけられて、センターにも強い打球がますます飛ぶようになったということだと思います。

 もともとセンターから左中間方向にもしっかり飛ばすことができますし、どの球場でもスタンドに入れられるだけの飛距離を持っています。運ぶ打ち方というよりも、飛ばす打ち方ですね。

 特に今年はボールの打球音も、まるで今までの鬱憤を晴らすかのような、聞いてて気持ちの良い音ばかりです。そこから考えると、今季はボールに伝わる力がより強くなった。そのため、これまで以上にボールにバックスピンをかけられるようになったからこそ、飛距離がこれまでよりも出るようになったということだと思います。
 
――そういった視点から見ると、岩村さんが特に印象に残っている本塁打はどれですか?

 14号ですね(5月18日の対インディアンス戦)。エンジェル・スタジアムのセンターの木の上に放り込んだ、あの一打です。「あれはすごいな」と。打った後のドヤ顔も含めて、見てて気持ちの良い打球というのは、こういうものなんだなと感じましたね。

――他にも、球団史上最速の打球速度で打った本塁打(15号。その後26号でも球団最速を再度更新)や、フェンウェイ・パークで打ったグリーンモンスター超え弾(11号)など、今季はいかにもホームランバッターらしい、魅せる一発が本当に多いですよね。

 そのバリエーションの豊富さも、一つは「対応できている」というところが大きいですよね。今は(マイク・)トラウト選手がいなくなって、今のオーダーを見ても、マークされているのは大谷選手と(ジャレッド・)ウォルシュ選手だけだと思うんです。今後もますますマークは厳しくなって、ピッチャーはいろんな球種、コース、高低を使ったりして何とか抑えてこようとする。

 でも、大谷選手はそれに対応していて、だからこそあれだけバリエーションが増えているんですね。フェンウェイ・パークの一打はバックドアのカーブ、ボール球を打ったもので、俗に言う打ち損じでもあるんですが、それでもあそこまで飛んでいくのが凄いですよね。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号